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コーラの話をしよう。

こんにちは。TETOTETO Inc.の豪希です。

色々あって、友人の熱燗DJつけたろうと、クラフトコーラをつくることになり、僕個人の性格も相まって二人でコーラについて突き詰めて考えていくなかで、情報量が膨大になってきたのでそのまとめと、活動の備忘録として、noteにまとめてみようと思います。
(*新着情報があれば追記していきます。)

コーラとは?

そもそもコーラってなんなのか?
辞書を引いてみるとこんな風に書いてあります。

コーラ【cola】
①コーラノキの種子に含まれる成分を主原料とした炭酸清涼飲料。 
②コーラノキの別名。コラ。

ここでいうコーラは、①の炭酸清涼飲料のことです。
つまり、コーラノキの種子(以下、コーラナッツ)を使わないとコーラとは言わないようです。

なるほど。コーラナッツを使ったドリンクだからコーラというわけですね。明快です。でも、コーラナッツって高価で入手も難しいものなんです。

ここで疑問が頭をよぎります。

「世の中にあるコーラって、本当にコーラナッツ入ってるの?」

コカ・コーラの成分について

というわけで、コーラの祖であり、代名詞でもあるコカ・コーラ社のコカ・コーラを例に成分をみてみましょう。

原材料名 :
・糖類(果糖ぶどう糖液糖、砂糖)/ 炭酸、カラメル色素、酸味料、香料、カフェイン

あれ?コーラナッツ入ってないぞ。
どういうことなのか?
職業病かな。仮説と検証がはじまります。これらを知るためには、コーラの歴史を紐解く必要がありました。

コカ・コーラは、1886年にジョン・ぺンバートン(John Penberton)という薬剤師が作り出したシロップ。当初のコカ・コーラは、「コカの葉(コカイン)とコーラの実の成分(カフェイン)、そして風味成分シロップ状にしたもの。」

シロップだけでは売りにくいので、炭酸水で割ったものをソーダファウンテン(ドリンクスタンド)で、販売したのが現在のコーラの始まりだそうです。

初期のコーラには、やはりコーラナッツが使われていたようです。

しかし、その後、コカインは規制の対象になり、コーラナッツは高価で入手困難になりで、コーラのレシピは大きく変わることになります。

以下は僕の考察も交えて、コーラの構成要素をまとめたものです。

【糖類】
甘味料です。コーラの甘さはこの糖類から来ているもので、コーラの大部分、おそらく90パーセントは糖類です。
【炭酸】
爽快感はこの炭酸のおかげです。炭酸の抜けたコーラは甘ったるくて飲めたもんじゃないのは、ご存知の通り。皆さんも経験があるかと思います。
【カラメル色素】
コーラ特有の黒色と、コクや苦味はこの色素由来です。
簡単にいうと砂糖を煮詰めて焦がしたものです。プリンの底に入ってあるアレです。現代のコーラに使われているものは、科学的に作られたもので添加物扱いです。
【酸味料】
昔はクエン酸(天然由来)が使われていたそうですが、現在では化学的に合成されたリン酸という酸味料が使われています。非常に安価だそうです。
【香料】
コーラの最大の魅力はこの香りです。別名7X(詳しくは後述します。)
コカ・コーラ社の2人の重役しかレシピを知らないとされています。
昔は香り成分をアルコール抽出して使っていたようですが、現在では香料に置き換わっています。これもおそらく化学的に合成されたものだと思われます。
【カフェイン】
コカインとコーラの成分(覚醒作用)を代用するために、カフェインを添加するようになったようです。

こうやって見ていくと、昔のコーラと現在のコーラはだいぶ味わいが違いそうです。現代のコーラはそのほとんどが添加物に置き換えられている印象があります。

僕は個人的に進んで飲みたい飲料ではないのですが、補ってあまりある美味しさがあります。そう。美味しいんです。

コーラの天然由来の成分が添加物に置き換わった理由も、美味しいからだと推測できます。みんな大好きコカ・コーラは世界中で愛され毎日約19億杯も消費されています。

大量生産に向けて、レシピも大きく変わったはずです。

その昔は、そもそも薬として売られていたらしいですし、漢方とかに近く、丁寧に作られていたようです。
めちゃめちゃ美味しくて売れまくったので、この大量消費に追いつくために、天然成分だけでは足りなくなり、今の形に落ち着いたのだと推測できます。

では、大量生産の契機となったコーラって、どれくらい美味しかったのか?

コーラのレシピアップデートの歴史(憶測)

実はコーラは何度かアップデートしています。1度目のアップデートは、1888年。
この年に、経営者が代わります。ジョン・ぺンバートンはコーラ発売(1886)の2年後になくなってしまうのですが、その直前に「コカ・コーラ」の利権をすべてを、エイサ・ G・キャンドラーに売り渡します。

このキャンドラーが「コカ・コーラ」を急成長させます。彼の手腕によって「コカ・コーラ」のシロップの売上高は急増。1892年には発売初年度の10倍近くにまで上昇していました。
このめちゃめちゃ売れるようになったタイミングで、レシピに関してもアップデートが施されたと、僕は考えています。この時期のコーラがめちゃめちゃ美味しかったのではないかな。

1894年ごろまでは、基本的にはシロップとソーダファウンテンでのみ売っていたコカ・コーラですが、1900年に入るとボトリングされたコカ・コーラが工場で生産されるようになります。2度目のアップデートは、おそらくこのタイミング。このころには今のコーラに近いものになっていたはず。

コカ・コーラの作り方

前述した内容からわかるように、昔のコーラは丁寧に手作りされたものでした。こうなってくると、その当時のコカ・コーラを飲みたくなってきます。

前章でまとめた内容を自分なりに分解して理解を深めていくと、コーラをコーラ足らしめる大事な要素が見えてきました。

ここからは憶測ですが、開発段階にあったコカ・コーラは苦かったはずです。なぜならば、コカの葉とコーラナッツの抽出液はどちらも苦いからです。コーラ独特のあの色もこの抽出液由来の部分があると思います。

この苦くて飲み難いが、覚醒作用に優れた液体を飲みやすいものに変えるために、甘み香りを足してシロップにしたという背景があったはずです。

つまり、コーラの構成要素のうち外して考えてはいけない大事な要素は「苦み」「甘み」「香り」の3つだということです。

そして、大量生産の必要に迫られて、レシピを変更する時もこの考え方に基づいてアップデートしたはずです。

「苦み」は、コーラナッツからカラメル色素に。
「甘み」は、砂糖からより安価で入手しやすい果糖ブドウ糖液糖に。
「香り」は、ハーブやスパイスから香料に。

つまり、コーラナッツを使わないレシピも、コーラなのです。

甘みのはなし

甘みというと砂糖をイメージしますが、一口に砂糖といっても様々な種類があります。砂糖以外にも甘味料や液糖など甘みを表現するための材料は沢山ありますが、ここでいう甘みとは糖類のことです。

甘みの話をするときに知っておいて欲しいのは、砂糖とはなんなのか?ということです。主成分はスクロース(ショ糖)です。サトウキビやテンサイなどを原料に作られています。ここでどうやって作られているかざっくりまとめてみます。

【砂糖の作り方】
刈りとったサトウキビを機械にかけ、細かく粉砕したあと搾ります。
搾った液体に石灰を入れて不純物を沈殿させたら、上澄み液を部分を集めて、真空の状態にできる特殊な鍋で(沸点を低くするため)煮詰めます。
濃縮がすすむにつれ不純物で茶色くなり、とろみのついたシロップ状になります。さらに水分が蒸発すると糖分の凝縮が進み、液体は糖分を保持することができなくなり、糖分は結晶化して表面に析出します。
この湿った結晶を、遠心分離機にかけます。するとシロップ状の液体(糖液)と、湿ったブラウンシュガーに分かれます。
このブラウンシュガーには、各種の酵素、カビ、細菌、土、繊維、その他種々雑多な植物や昆虫の残骸が含まれています
このブラウンシュガーのこと「未精製糖」といいます。未精製糖は、この状態では食べれないので、精糖所という施設で、洗浄して不純物を取り除き、再溶解させて、再び煮詰めて再結晶化させます。この後、さらに複数回、遠心分離機にかけ、徐々に純度の高い糖分(ショ糖)へと精製されていきます。
ちなみに、結晶から絞り出される液体を「糖液」と呼びます。遠心分離機にかけるたびに濃縮されて色が濃くなり、独特の苦味と香りも強くなります。これはサトウキビの汁に含まれる「灰汁」によるもので、癖のある風味と苦味はクセになります。
サトウキビジュースを煮詰めては遠心分離機にかけて、結晶と液体に分けて、結晶を再び溶かし、遠心分離機にかけて…を繰り返して砂糖は作られていきます。

精糖プロセスを経ないと食べれないということがわかっていただけたと思います。この精糖具合によって、砂糖の呼び名は変わります。
純度が高いほど、甘味が強く。色も白くなります。ミネラル分や灰汁は少なくなるのでコクがなくなるという人もいます。

純度の高い順に、グラニュー糖 > 上白糖 > 三温糖 > 黒糖

また、精製の過程で搾り取られる糖液も製糖の段階によって名前が変わります。糖液の独特の風味は、鉄のような甘くビターな風味や、土を思わせる甘く燻したような風味と形容されています。

精製の順に「ライトモラセス > ダークモラセス > ブラックストップ」
【ライトモラセス】
1度目の遠心分離の際に搾り取られた糖蜜を煮詰めたもの。蜂蜜ような色合いで、ショ糖分を最も多く含有しているため甘くてマイルドで食べやすい。
【ダークモラセス】
2度目の遠心分離の際に搾り取られた糖蜜を煮詰めたもの。ライトモラセスよりも甘さが控えめでコクと風味がある。色も茶色っぽくなります。
【ブラックストラップ】
3度目の遠心分離の際に搾り取られた糖蜜を煮詰めたもの。最も濃厚。ビターな風味があり甘味度は薄い。色は真っ黒

この糖類をどう組み合わせるのか?がキモです。
コーラが時代背景などを考えると、数種類の砂糖が使われたはずです。純度の高いグラニュー糖は高価だったはずで、三温糖か、それよりも純度の低い砂糖を主成分にしていたはずです。

苦味のはなし

コーラって苦かったっけ?

コーラを苦いと感じる人はあまりいないと思いますが、今も昔も変わらず苦みの成分は入っています。
苦味にはコクという役割もあって、コーラの場合「苦み=コク」と考えていただけると良いかと思います。

昔のコーラの苦みは、コーラナッツとコカの葉でしたが、アップデートを重ねる中でコーラナッツも、コカの葉も使わなくなります。

現在のコーラは、コーラナッツ、コカの葉の「苦みと覚醒物質」を、「カラメル色素とカフェイン」に置き換えているわけですが、ここではもう少し丁寧に作られていた頃のコーラのレシピに思いを馳せてみたいと思います。

コーラナッツは入手困難。コカの葉は1900年頃から規制の対象になって、使えなくなる。

というわけで、1900年ごろにレシピのアップデートの必要に迫られます。

この二つの材料に共通する味は「苦み」。抽出液は濃い茶色。
苦くて茶色いもので代用しようということで、カラメルを使ったはず。(覚醒物質は単純にカフェインを添加した。)

品質のよいカラメルを作るには、純度の高い砂糖(グラニュー糖とか)が必要なんだけど、、グラニュー糖が作られるようになるのは、1890〜1900年頃の話。そして、カラメルが作られるようになるのも1900年に入ってから。
コーラのアップデートと見事に符合する。

今では、カラメルは工場でかなり商業的(ショ糖と亜硫酸化合物などを合わせて加熱する)に作られたものがほとんどですが、当時は大きな釜で砂糖と水を合わせて煮詰めて作っていた。

現在の商業的に作られるカラメルの定義は下図のようになっている。

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この商業的ではない、丁寧に作られたカラメルはこの時のコカ・コーラの味の決め手になったはずだ

どんな種類の糖でも加熱を続けると熱によって分解される。
この反応を「カラメル化」という。
ショ糖は無味無臭で単一の分子が集まったものなんだけど、熱を加えることで分子構造が壊れて、4000を越える化合物が生成される。そこには様々な芳香成分が含まれていて、昔から料理の隠し味に使われてきた。
TÉTOTARŌ COLAコーラにはこの複雑な香りが必要不可欠なんだね。
--【例】--
アルコール(酒の香り)、アセトン(除光液の香り)、アルデヒド(シェリー酒の香り)酢酸(酢の香り)、ジアセチル(バターの香り)、酢酸エチル(果物の香り)、フラン(ナッツの香り)、マルトール(トーストの香り)

コーラに不可欠な「苦み」は、カラメルを作ることができれば、コントロールできることがわかっていただけたと思う。

なので、TÉTOTARŌ COLAではカラメルから手作りしている。

じゃぁ、覚醒物質はどうするのか?
コーラって、もともとエナジードリンク的な役割だったので、そういった成分を入れる必要があったわけだけど、TÉTOTARŌ COLAは美味しさ追求する方向なので、無用な成分は入れない。なので、カフェインは不要と考えている。

香りのはなし

最後に香りの話しよう。

コーラの香りは7Xという7つの材料(ハーブやスパイス)からできているというのは有名な話。

諸説あるけど、発売当時のコカ・コーラの7X(7つの材料と比率)は以下のようなものだったとされている

①オレンジ:   6
②レモン:    4
③ナツメグ:   2
④コリアンダー: 1
⑤シナモン:   2
⑥ネロリ:    2
⑦バニラ:    0.25

このレシピでシカゴのラジオ番組が試作したところ、子供用の風邪薬みたいな、薬っぽい味になったそう。

ということは、あの美味しい味は、やっぱりアップデートの賜物。例えば、今のコーラ飲んでもコリアンダーなんて一切感じない。その代わりにクローブの香りを感じる。

TÉTOTARŌ COLAも、当時のコーラと同様に天然素材から香りを抽出している。試行錯誤を重ね、おいしいレシピを研究中だ。

まとめ

時を経て、進化を重ねるコーラ。

時は令和。現代ではクラフトコーラが流行っている。いろいろな作り手が独自の解釈でコーラを作っているわけだけど、正解はない。

コーラナッツ入っていようが、入ってなかろうが、どんな糖をつかっていようが、作り手がコーラといった瞬間にコーラになる。

それほどに懐が深く、極めようと思えば深淵にして底がしれない。だから面白いのだけど。

これほどに、こだわったTÉTOTARŌ COLAはこちらからお買い求めいただけます。

https://tetotaro.stores.jp/


【出典】
https://www.sembatohka.co.jp/about/about_mamekara.html
https://www.maff.go.jp/j/kokusai/kokkyo/yosan/pdf/R1_12_005.pdf
http://park.itc.u-tokyo.ac.jp/biological-chemistry/profile/essay/essay15.html
https://maplefromcanada.jp/_files/news/news023.pdf
https://dailynewsagency.com/2011/02/15/original-coca-cola-recipe/
https://www.cocacola.co.jp/stories/trivia2017

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