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ターゲットを設定して作るメディアよりも、内在的価値をテーマにするメディアが強力(Refinery29を考える)

メディアのビジネスモデル(広告・タイアップ)として、「デモグラ×閲覧数」の時代が長く続いてきた。おかげで、新聞にしろ、テレビにしても、雑誌でも、WEBメディアでもこの「デモグラ×閲覧数」を意識してコンテンツを運営していくことになる。この層の読者が喜ぶから、この層が好む話題だから…とターゲット閲覧数が取れることが運営の指針になってきた。

そうなると、扱うのはマジョリティの読者層となるターゲットが大切になってくる。残念ながら、この指標の上では、マイノリティな読者が好むものは記事としては価値がなくなってしまう。誌面という物理的な縛りがなくなったWEBメディアであっても、この指標がある限り、予算の最適化の中では、マイノリティ向けは重視されない。

一方で、デモグラ×閲覧数ではなく、問題意識や共感を軸に閲覧数を集めてメディアを運営してきている流れが生まれてきている。代表的なものは、Refinery29だろう。

背景には、世代×性別が一緒だからといって、興味があるもの、政治信条などを一括りにする時代ではないということが大きいのだろう。WEBサイトのデモグラには意味がない。媒体として共感できる価値観が大切であって、チャンネル毎(facebookだと…YouTubeだと…メルマガ経由だと…)にデモグラは変わる。デモグラでコンテンツを決めるのではなく、内在化した価値で記事を作っていく。

Refinery29 is a catalyst for women to see, feel, and claim their power. We are the leading next-gen media and entertainment company focused on you—women pushing the status quo, in their lives and in the world.

Refinery29の内在的なテーマは、女性の社会進出だろう(上記に引用したRefinery29のミッションで明言している)。当たり前に女性が自分らしく生きるためには、どんな社会であるべきか?そのことをテーマに、政治的な記事も、スタイルアイコン(もちろん既存のファッション誌のスタイルアイコンとは異なる)の記事も、ファッションやビューティやコスメの記事も並んでいる。

上で書いたような女性が自分たちらしく生きるというテーマがあるので、髪型であってもいろいろな髪質の人(人種)がいるのだから、それぞれごとに美の形を提案している。(ex. https://www.refinery29.com/en-us/short-hair-wedding-hairstyles

既存のメディアで当たり前だった、マジョリティ層をターゲットとしてその人たち向けに、記事を作るのではない。女性の社会進出を当たり前にするという内在的な価値をベースに、メッセージ色の強いコンテンツを作っている。その積み重ねで、デモグラで言えばバラバラの人たちを集めて、読者層を作っている。この価値観を共にするメディアのほうが読者との結びつきは明らかに強力だ。

一度Refinery29の世界に浸ってしまうと、日本の女性誌の幼稚さが気になってしまう(もちろん日本の男性誌にも酷いものが沢山ある)。これは日本の女性が幼いのではなく、メディアを作っている側がビジネスモデルや過去の経緯にまみれて、継続してしまっているからだろう。社会を変えるためには、メディアから変わっていかなければならないとよく言われる。まさに、この女性メディアの日米格差を目の当たりにすると、日本はまだまだ時間がかかりそうで残念でならない。

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