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受刑者たちも自分は平均以上だと信じている

平均以上効果(Better-Than-Average Effect; BTAE)という心理学の用語があります。これは,正直さや温かさ,知能や技術などについて,平均的な人々に比べて自分自身が平均以上であるという認識を持つことで,一種の認知的なバイアスとされるものです。

そもそも,多くの人が「自分は平均以上だ」と考えれば,平均はどんどん押し上げられていきますので平均以上ではなくいなっていく人が増えるはずなのですが,そういうことになるわけではありません。

レイク・ウォビゴン効果

またこの効果は,レイク・ウォビゴン効果という名前でも知られています。どうしてこんな名前がついているかというと,これはギャリソン・キーラーという小説家・コメディ作家によるミネソタ州にある架空の町のことなのだそうです。

そして,この町の人々はみな自分のことを平均以上だと考えているというネタがあり,この実験を行った心理学者がこのネタから名前をとったということのようです。

レイク・ウォビゴンというネタは日本人にはなじみがない(というか,この心理学の効果だけで元ネタについてはほとんど知られていない)のではないかと思うのですが,Youtubeを検索すると,この著者が行っているレイク・ウォビゴン・ネタのトークの様子も見ることができますので,検索してみてはどうでしょうか。

囚人たちも平均値以上

さて,特殊な状況に置かれた人々も,平均値以上効果を示すのかというのは気になるところです。たとえば,収監されている受刑者たちです。

先行研究では例えば,反社会的な特徴について調査を行うと,受刑者たちは自分自身を平均よりも反社会性が強いと評価しがちで,その一方で道徳性や親切さ,正直さや思いやりなどについても,平均よりも上だと評価する傾向にあったそうです。

そこで,この研究ではもう少し詳しく,受刑者たちの平均以上効果について検討することを試みています。この論文です(Explaining the better‐than‐average effect among prisoners)。

調査対象者は全体で152名の男性で,そのうち85名は収監中の受刑者(21歳から73歳),67名は地域の居住者(19歳から64歳)でした。地域のメンバーは,刑務所がある地域と同じ場所から集められています。

調査の内容は,自分自身でいちばん良くない面を挙げて評定する課題と,いくつかの質問紙に回答するパートで構成されていました。そして受刑者本人と他の受刑者との比較,また受刑者と地域メンバーとの比較を試みています。

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