楽器の選択と性格が関連する?
「東大には子どものときにピアノを習っていた経験をもつ学生が多い」といったニュースは定期的に流れてきます。習っていたことの1位が水泳,2位がピアノなのだとか。
ピアノじゃなくて水泳に注目する記事もありました。もっとも,水泳は子ども全体の習い事の全体で1位なのですけどね。オリンピックの水泳で日本が強いのは,多くの子どもが習っていて裾野が広いからじゃないかと思ったりもします(多くの子どもが習っていれば,才能を見出しやすいですからね)。
皆さんは何か楽器を習った経験があるでしょうか。ピアノを習うと東大に入りやすくなる……?それははたして,因果関係と言えるのでしょうか。
ちなみに,私は楽器を習った経験はまったくありません。
楽器と性格
これって,授業でとてもよく質問されることなのです。「楽器を弾くことと性格に何か関連はあるのですか」という質問です。
いろいろ知らないころなら「そんなの特にないんじゃない?」と答えていたと思うのですが,実はこの手の論文は非常にたくさんありまして……(素朴な疑問の検証は,世界中でたいてい誰かがすでにやっていると考えた方がいいですね)。
たとえばこの論文は,楽器の奏者とボーカリストとの間の性格を比較したものです(Music Ensemble Participation: Personality Traits and Music Experience)。
結果はシンプルなもので,楽器演奏者よりもボーカリストの方が外向性が高い傾向が見られました。それから,パーカッションの演奏者もボーカリストと同じくらいの外向性の高さだったそうです。
この論文が掲載されている雑誌は,音楽教育の研究誌のようです。外向的な生徒は好きなパートを選ぶときにボーカルかパーカッションを選びやすいかもしれないので授業の参考にしては,といったことが書かれています。
ピアノ・弦楽器・木管楽器・金管楽器
もっと細かく楽器の演奏者別に性格を比較した論文もあります。
Journal of Research in Personality Musical Instrument [pdfへのリンク]
クロアチアの研究者による論文です。
ここから先は
日々是好日・心理学ノート
【最初の月は無料です】毎日更新予定の有料記事を全て読むことができます。このマガジン購入者を対象に順次,過去の有料記事を読むことができるよう…
この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?