
コロナ中の買いだめと性格の関連
1973年10月(私が1歳のころ),突然人びとがスーパーに押しかけ,こぞってトイレットペーパーを買い占めていく現象が起きました。オイルショックによる不安が喚起され,買い占めのニュースも報道されたことで,トーレットペーパー以外の日用品も次々と買われていく現象が起きています。教科書にも載っている現象ですので,多くの人が知っていることですね。
買いだめ
買いだめとは,消費者が通常よりも大量にものを購入し,自宅に備蓄してしまうことで,店舗で商品が丹生縊死できなくなった場合の品切れリスクを回避しようと試みる行為です。買いだめ行為は,消費者が商品を提供する側に不信感を示していることを意味します。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックは,現代社会でも社会的な混乱の中で買いだめ行為がみられることを明らかにしました。この時期,日本だけでなく世界中で買いだめ行為が見られています。
買いだめの要因
買いだめには,大きく2つの要因があるとされています。
◎品薄や供給不足
◎リスクを恐れて自宅にとどまり,リスクを減らすために買いだめをする
さらに,買いだめは社会的証明や規範にも関連する可能性があるそうです。他者の行動に従うことを指し,他者が行うことを自分も行うことで社会的な流れや規範に合致させようとするということを意味します。危機における買いだめは,感情や自尊感情にも関連するという指摘もあるようです。
性格
買いだめとパーソナリティとの関連についても検討が行われています。たとえば,神経症傾向が高い人々は,将来ものが手に入らなくなると感じたときには社会的な規範に適応しようとする傾向が強くなると考えられますので,買いだめに走ることが予想されるようです。
また,そもそもものを買うという行為は,ネガティブな感情を調整する一つの方法だという意見もあるようです。神経症傾向が強い人は,消費することでネガティブな感情から逃れようとする傾向もあると考えられるようです。
関連
これまでにも新型コロナウイルス感染症のパンデミックの中で,パーソナリティ特性と買いだめとの関連を検討した研究はあるのですが,イギリスで行われた研究が報告されています。どのような結果が報告されているのでしょうか。
こちらの論文を見てみましょう(Personality Traits and Stockpiling in the United Kingdom During the COVID–19 Pandemic)。
なお,この論文には私の研究グループの論文も引用されています(The association between personality traits and hoarding behavior during the COVID-19 pandemic in Japan)。
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