自分の知的能力を過大評価するナルシスト

ナルシシズム(自己愛)は,自己中心的な感覚と社会的な利己主義,自分自身をほかの人よりも優越しており,特別な存在であり,特権的な意識をもつ人物だとして認識する傾向にも関連しています。

そしてナルシシズムはエージェント的な領域を重視することに関連するといわれています。これは,自分自身を拡張して,自己評価を高めようとする動機づけに関連します。

加えて,エージェント的な領域の代表的な特性が「知能」です。知的に優れているという感覚は,ほかの人よりも優れた人物であるという認識をもたらします。ナルシシズムが強い人にとって「自分は賢い」と認識することは,自分の評価を維持するためにもとても重要なことだと考えられるのです。

知的だと認識するのか

自己愛的な人物は,本当に自分を知的だと考えるのでしょうか。単に関連を検討するだけでなく,ナルシシズム的な傾向を喚起させる方法も用いて検討している研究があります。では,こちらの論文を見てみましょう(Induced narcissism increases self-assessed intelligence: implications for academic goal-pursuit, expected academic achievement, and psychological well-being)。

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