
起業したい情熱に関連する性格
日本ではどれくらいの企業が生まれて,どれくらいの企業が倒産しているのでしょうか。こういう数字は,意外と知らないことが多いように思います。
就活をするときにも,こういう数字は知っておきたいですね。ついつい,就活を狭い範囲で考えてしまいがちのように思います。
数字の予想
では,数字を予想してみてください。
そして,帝国データバンクのwebサイトに,「日本企業のトリビア」というページがありますので見てみましょう。
日本では過去10年間で18万社が生まれ,11万社が倒産したそうです。いかがでしょうか。予想した数字よりも多かったですか?少なかったでしょうか。
おそらく,予想した数字よりも,実際の数字の方が多かったのではないでしょうか。この数字だけを見ても,直観と現実との差を実感することができそうです。
倒産する数
ちなみに,起業した会社はおおよそ,20年で半分は倒産してしまうという話を聞いたことがあります。「日本は終身雇用」とは聞きますが,そもそも会社の方が勤めている期間よりもその命が短い,ということも多々ありそうです。それも,直観と現実の違いでしょうか。
起業する人の特徴
さて,起業しようとする傾向には,何かの性格が関連するのでしょうか。ネットで検索すると,色々な話が出てきます。
◎行動力があること
◎柔軟な考え方ができること
◎チャレンジ精神があること
◎努力すること
◎負けず嫌い
などなどです。
論文で見る
これまでの起業家精神(アントレプレナーシップ)とパーソナリティ傾向との関連では,おおよそ一貫した結果が見られています。たとえば,最近出たこの論文です(Entrepreneurial Passion and Personality: The Case of Academic Entrepreneurship)。
さこの研究では,起業をしようとする情熱(「起業したい!」)と,実際に起業をする行動傾向(コンサルタントに相談したり,特許を取得しようとしたり,資金提供を申し込んだり)に注目しています。パーソナリティは,ビッグ・ファイブと企業に関連するとされるパーソナリティ傾向も測定しています。
分析は,137名のドイツの科学者に4度にわたって行われた調査データを使って行われました。科学者たちが自分の研究を使って起業したいと考えたり,実際に行動しようとする傾向が測定されたというわけです。ドイツ国内の大学に所属する研究者たちや,マックス・プランク研究所の研究者も参加したそうです。
起業と開放性
相関係数だけを見ると,起業への情熱には開放性の高さと神経症傾向の低さが関連していました。実は,他の研究でも開放性の高さが起業の傾向に関連するということが報告されていて,そこはなかなか安定した関連のようなのです。
色々なことに興味を持ち,行動へのハードルが低くて新しいことや突飛なことも否定的に捉えないことが起業にもつながる特性のようです。
文化や時代
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