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サイコパスとこころの理論との関連

割引あり

ややこしいですが,サイコパシーは心理特性の名前,サイコパスはサイコパシーをもつ人を指す言葉です。サイコパシーは,衝動性や共感性の低さ,他の人を操作したり搾取したりする一連の傾向を指します。一般的に「サイコパス」という言葉はよく使われていて,日常用語になってしまっている感もあるのですが,心理学のなかで研究されている概念でもあります。


サイコパシーの持ち主(サイコパス)は,外見上はうまく適応しているように見えるようです。サイコパスというと「普通の人かサイコパスか」といったようにカテゴリで分けらっるように思うかもしれませんが,実際にはサイコパシーの得点は非常に低い人から非常に高い人までなだらかに変化していて,中央あたりの人が一番多くなっています。

サイコパシーの中身

一口にサイコパシーと言っても,実は中身が分かれるのです。近年では,サイコパシーの3因子モデルがよく使われているようです。

たとえばTriarchic Psychopathy Measure (TriPM)という尺度では,次のような因子に分かれています。

◎大胆さ:社会的な支配力,感情の回復や変動の小ささ
◎卑屈さ:他の人のことを気にしない,攻撃的,競争的
◎抑制の欠如:衝動の抑制の欠如,感情調整の欠如

感情の起伏が小さく,社会的な支配性を求め,他の人の評価を気にせず攻撃的で,抑制があまり効いていないようなパーソナリティとして,サイコパシーは描かれるようです。

共感

サイコパシーの特徴のひとつは,共感性の欠如です。共感には,次の要素があります。

◎理解:他の人の世界を理解する
◎感じる:他の人が感じていることを感じる
◎共有:他の人の世界を共有する
◎自他の区別:自分の気持と他の人の気持ちを区別する

他の人の世界を理解することと感じることは,それぞれ認知的共感性と情動的共感性と呼ばれることもあります。

心の理論

共感性の基礎となるプロセスに,心の理論があります。他の人の思考や意図,信念などを推測する能力のことで,これらの認知的な側面を推測する心の理論と,感情や情動の側面を推測する心の理論にも分けることができるようです。

サイコパシーが高い人は,心の理論の獲得状況にはどのうような特徴が出てくるのでしょうか。メタ分析によって両者の関連を検討した研究があります。こちらの論文を見てみましょう(Psychopathic traits and theory of mind task performance: A systematic review and meta-analysis)。

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