ひとりっ子はナルシスティックではない
「ひとりっ子はわがまま」
あなたはそういう印象を持っていますか?
A. もっている
B. もっていない
どちらが多いでしょうか。
わがまま
「わがまま」を英語で言うと何にあたるのでしょうか。“egotism”とか,“selfism”とか“selfish-mind”という言い回しもありますし,“indulgence”という単語もあります。“indulgence”は見慣れない単語かもしれませんが,思うままに振る舞うとか,道楽とか甘やかしとか,ご機嫌を取ることという意味もあったりします。
そして,egotismとかselfismという単語に強く関連して,心理学でよく研究されている概念が,ナルシシズム(自己愛)です。
誇大な自己愛
特に「誇大な自己愛(grandiose narcissism)」と呼ばれる,まさに昔から研究されてきた「自己愛」の要素が,いわゆる「わがまま」な状態に相当すると考えられます。
誇大な自己愛は,自分にとても強いポジティブで他の人よりも優れているという感覚を持っていて,自己中心的で,他の人は自分を特別扱いするものだという権利意識(特権意識)を持っています。どうでしょう,いわゆる「わがまま」に近いのではないでしょうか。
ひとりっ子はナルシスト?
では,海外でも同じようなひとりっ子に対するステレオタイプがあるのでしょうか。また,本当にひとりっ子はナルシシズムが高かったりすることはあるのでしょうか。
今回紹介する研究では,このひとりっ子のステレオタイプと,本当はどうなっているのかということを検討しています。この論文(The End of a Stereotype: Only Children Are Not More Narcissistic Than People With Siblings)です。
この論文は2つの研究で構成されています。研究1では「ひとりっ子はナルシストというステレオタイプは本当か?」という問題を扱っていて,研究2では「実際にひとりっ子はナルシストと言えるのか?」という問題を扱っています。
ここから先は

日々是好日・心理学ノート
【最初の月は無料です】毎日更新予定の有料記事を全て読むことができます。このマガジン購入者を対象に順次,過去の有料記事を読むことができるよう…
この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?