都市の幸福のパラドックス
「都市の幸福のパラドックス」(Urban Happiness Paradox)という言葉があるそうです。
これは,都市化の進んでいない地域に暮らす人々と比較して,大都市の住民は生活に対する不満をより強く感じているということを指す言葉です。都市部に住むことで得られる経済的・文化的な利点がある一方で,精神的な幸福度が低下しやすいことを意味します。
説明
どうしてこのようなパラドックスが生じるのでしょうか。いくつかの説明が,これまでに試みられています。
まず,都市部と農村部の社会経済的な特徴の内容の違いが,個々人の特徴と関連するという考え方です。一般的に,都市部にはさまざまな個人や集団が集まっています。一方で,特別なスキルや高い教育水準を活かして社会のなかで成功しようとする人々は,大都市に集まりがちだと考えられます。一方で,大都市には,不安定な雇用に従事する人々,基礎的な藤堂に従事する人々も引き寄せられます。こうした社会集団の複雑な構成が,年の幸福のパラドックスに関連するのかも知れません。
しかし,そもそも社会経済的地位が低い人々は,都市に住むと幸福度が低下するということが起きるのでしょうか。経済的に恵まれない人々は,都市部に住んでいるという理由で,農村部に住む同世代の人々と比べて主観的な幸福度がさらに低下する可能性はあるのでしょうか。
バランス効果
2つ目は,都市化の問題です。大都市における主観的な幸福度の格差は,都市化のコストと利益の不均衡に起因しているという考え方です。都市化のコスト(高い生活費,長時間の通勤,犯罪など)が,都市化の利益(雇用機会や生活利便性へのアクセスなど)を上回ることから,幸福度が低下する可能性です。
個人の不満の最も重要な予測因子のひとつは,地域の一人当たり所得でもGDP成長率などの経済パフォーマンスでもなく,むしろ地域内の所得格差の度合いであり,特にコミュニティ内の富の偏在であるという意見もあるようです。
調査
都市の幸福のパラドックスは,本当に生じるのでしょうか。76万人以上のヨーロッパの人々を対象としたデータを分析することで検討を行った研究があります。こちらの論文を見てみましょう(Cities, Inequalities and the Geography of Societal Discontent in European Regions)。
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