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モバイル機器を使った心理学研究の未来

割引あり

心理学の研究結果は,現実の人間の活動を説明しようとします。しかし一方で,アンケート調査も実験室実験も,現実の活動からは離れたところでデータを得ることになります。

もっと自然な状況の中で研究することの重要性は,多くの研究者たちはわかっているのですが,なかなか現実的には苦労が伴うものです。


携帯デバイス

私が学生の頃であれば,本当に日常の中でデータを得ようとするのは現実的ではありませんでした。でも,大学院生の頃,学部の大掃除をしたときに見たことがあるのですよね。腰につけてデータを記録する携帯デバイスを。電池式でボタンがついている四角い箱で,ベルトがついていて腰に巻くことができたような。あるいはベルトに通す穴がついていたかもしれません。中身はドラムとリール式の紙がついていて,ボタンを押すと紙に記号が記録されるようになっていました。……動いているところを見たわけではありませんのでたぶん,ですが。

こういった記録装置は,1950年代頃から工夫されていたそうです。本当に,スマホが普及するまでは,この手の調査は大変だったのですよ。

ウェアラブル

スマートフォン,スマートウォッチ,スマートホームデバイス(アレクサとかGoogleスピーカーとか)などなど,さまざまなモバイルセンシング技術を活用することで,心理学でも自然の文脈の中で生じる行動を記録して分析できる機会が広がっています。

これらのデバイスを使った研究は,主に「社会的行動」「移動行動」「日常的な活動」についての研究に活用されています。

今回は,心理学におけるモバイルセンシング技術の活用についてレビューした論文を見ていきます。こちらの論文を見てみましょう(Understanding behaviours in context using mobile sensing)。

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