日々の行動と性格

人間の性格全体を５つの次元で評価するビッグ・ファイブ・パーソナリティは，もともと辞書に書かれている「人間を形容する可能性のある言葉」をすべて抜き出して整理する，という研究からスタートしています。

このような背景がありますので，これを使うことで「人間全体の活動の方向性をおおまかに指し示す」という使い方もできるのではないかと思っています。

基本性格特性セット｜Atsushi Oshio｜note

性格が何かの原因になるとか，行動を生み出すとか，そのようなプロセスではなくおおまかに指し示すという機能です。物事の整理に役立つ可能性です。

そのような点で整理に役立ちそうな研究を紹介してみようと思います。

性格と日々の行動

性格は日々のどんな行動に関連するのでしょうか。

そういう疑問が浮かぶなら，一気に関連を見てしまえばいいじゃない，という勢いの論文があります。著者はチャップマンとゴールドバーグです。第２著者のゴールドバーグは，ビッグ・ファイブ・パーソナリティの研究で知られるゴールドバーグです。

やっていることは単純で，あらゆる日常の行動を並べて，それぞれについてどれくらいやりますか？と尋ねてしまうという調査の内容です。

Act-frequency signatures of the Big Five

日々の行動を頻度で測定

日々の行動を頻度で測定する研究アプローチのことを，Act Frequency Approach（「行動頻度アプローチ」でしょうか）と言うのだそうです。しかし，何でも名前をつけるとかっこよく聞こえてしまうのが不思議です。

調査対象者はオレゴン州の調査プロジェクトに参加した1065人の成人でした。

回答したのはビッグ・ファイブ・パーソナリティと，400項目からなる日常生活のあらゆる行動を頻度で尋ねる尺度でした。「人生で一度もない」から「去年３回から15回やった」までの４段階で回答が取られています。

さて結果ですが，ビッグ・ファイブ・パーソナリティのそれぞれに比較的大きく関連した行動を見てみようと思います。

外向性に関連する行動

外向性に関連するのは，おおよそ活動的でちょっとリスクのありそうな行動のようあです。また，対人関係に関連する行動もリストの中に含まれます。

・運動プログラムに参加
・ウイスキー，ウォッカ，ジンなど強い酒を飲む
・ランニングやジョギングをする
・電話をしながら運転する
・バーでお酒を飲む
・携帯電話で会話をする
・下品な冗談を言う
・日焼けしようとする
・ゴルフをする
・お金の儲け方について相談する
・スポーツの試合で大声を出す
・部屋を飾る・サウナや風呂に入る

協調性に関連する行動