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人間以外の動物に対する態度
ヒューマニティならぬ「アニマリティ(Animality)」の研究というのが,心理学のなかでも近年行われているようです。心理学においては,アニマリティは,動物に対する思考や感情や行動からなる態度における個人差のことを指すようです。
構造
これまでの研究では,調査結果からアニマリティの個人差は2つの因子構造で構成されることが報告されています。
◎動物への感情移入(Emotional Regard for Animals):動物が好き,動物への共感,動物を家族のように扱うなど
◎動物への愛着(Attraction to Animals):動物に対する好奇心,動物とのつながりなど
これら2つの因子は相互に関連しており,全体として1つのアニマリティ因子を構成することも示されています。
バイオフィリア
バイオフィリア仮説というものがありまして,人間には自然や動物に対してつながりを求める基本的な欲求があるという仮説です。
バイオフィリアは生得的で,生まれながらに人間に備わった傾向だと考えられるのですが,アニマリティにもこの考え方を適用することができるかもしれません。
◎動物を大切にし,愛情を注ぐことができる
◎動物を見ると,なでたり抱いたりしたくなる
◎動物は私たちが愛情を注ぐべき存在だ
こういった感覚は,バイオフィリア的なアニマリティだと考えられます。
他の次元
バイオフィリアには他の側面も設定されます。たとえば,自然界は経験を通じて理解するのが最もよいという考え方です。自然を理論的に検証しようとする傾向もバイオフィリアにはあり,自然保護や生態学者と科学を結びつけるような志向性がそこにはあります。こういった側面から,アニマリティについて,次のような内容を考えることができます。
◎他の人よりも動物やその行動の詳細に気づいている
◎動物について直感的によく理解している
◎動物が何を感じているかをよく理解している
否定主義
さらに,自然界に対して嫌悪,恐怖,回避,敵意を向ける側面も,バイオフィリアにはあります。現代の人々の間にも,爬虫類恐怖症,両生類恐怖症,クモ恐怖症,ヘビを検出しやすい傾向など,これまで人間が生物として生きてきた進化的背景の名残と言えるような傾向が備わっています。
このような側面からアニマリティを考えると,次のような内容を設定できそうです。基本的にアニマリティはポジティブなものですので,ネガティブなものの逆方向で考えるのがよいでしょう。
◎動物に囲まれると快適である
◎動物に囲まれると緊張や不安を感じる
◎動物に囲まれると安心できる
アニマリティを測定する
他にもいくつかの側面から,アニマリティを考えることができそうです。これらの考え方を総合した上で測定したら,どのような因子が見出されてくるのでしょうか。
アニマリティの次元について検討した研究がありますので,こちらを見てみましょう(Dimensions of Animality: Expanding nomological breadth and controlling phenotypic similarity)。
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