逆境の中で育つと白血球を増やす?
子どもの頃にひどい環境で育つとパーソナリティにも良くない影響を受ける,という研究がこれまでにも行われています。という話を聞くと「大丈夫かな?」と思ってしまう人がいるかもしれませんね。
生活史理論
生活の中でどこに資源を投入するかで,生きていく戦略が異なってくるという話があります。生活史理論(ライフヒストリー理論)と呼ばれるもので,おおよそ下に示すような戦略の違いがあると言われています。これは,野生生物にも見られますし,人間の中の個人差としても考えられています。
そして,子どもの頃に不安定で(unstable),予測不可能な(unpredictable)環境で育つことは,r戦略(短期的戦略)をとりやすいと言われています。
さらに,短期的戦略はダークな性格に関連することも,これまでの研究で示されています。またさらに,ダークな性格(Dark Triad)についても,不安定で予測不可能な環境で育つ経験を持つ人々において高くなる傾向があるということも,これまでに報告されてきています。
炎症反応
不安定で予測不可能な環境で育つことは心理的な影響だけでなく,身体的な特徴にも関連するのだそうです。たとえば,短期的戦略の持ち主は性的に奔放な傾向がありますので,性感染症の経験を持ちやすいということが考えられます。また,短期的戦略の持ち主は,飲酒や喫煙,違法なドラッグなどにも手を染めやすいと言われています。
ということは,不安定で予測不可能な環境で育つことと短期的戦略,ダークな性格,そして身体の炎症反応という相互の関連が予想されます。
いや,本当にそんな関連が見いだされるのでしょうか。実際に検討した研究を見てみましょう。こちらの論文です(Childhood adversity is associated with adulthood white blood cell count through narcissism)。
ここから先は
日々是好日・心理学ノート
【最初の月は無料です】毎日更新予定の有料記事を全て読むことができます。このマガジン購入者を対象に順次,過去の有料記事を読むことができるよう…
この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?