
男女で学業成績の違いはあるのか
なんとなく,小学校や中学校などで「男子生徒よりも女子生徒の方が成績が良いのでは?」という直感を抱くことはあるようです。
ところが日本の大学進学率を見ても分かるように,学部・学科によって大学進学率は大きく男女比率が異なっていて,研究者の比率を考えると女性割合は圧倒的に少ない状況が続いています。
その一方で特にアメリカでは,“Boy Crisis”という言葉もあるようで,女子生徒よりも男子生徒の方が学業成績が伸びず,問題が多いということも指摘されているようです。こういうところにも,文化の違いといいますか,制度の違いといいますか,そういうものが見られそうです。
学部・大学院の女性比率
このページ(男女共同参画白書(概要版) 平成30年版)によると,次のような数値が出てきます。
◎大学(学部)への進学率は女子49.1%,男子55.9%
◎高等教育段階の女子学生の割合は,大学(学部)44.8%,大学院(修士課程)31.0%,大学院(博士課程)33.4%
◎女子学生比率(学部)は,人文科学系で約65%,社会科学系で約35%,理学系で約27%,工学系で約15%,農学系で約45%,医学・歯学系で約35%
◎女性研究者割合は,約16%
このような数値をみると,性別による偏りが大きいように思えてきます。
男女の成績
そもそも,男女で学業成績に違いはあるのでしょうか。このテーマは世界的によく研究されるもののようで,メタ分析研究も行われています。この論文です(Gender differences in scholastic achievement: A meta-analysis)。
この研究では,学校で出される学業成績に注目して,男女の差を検討しようとしています。先行研究では,自己評価による成績も分析の対象になることがあるのですが,それよりも学校の成績に特化しようと試みています。
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