人から助けられやすい人はどんな性格?

人との結びつきが命まで左右するというのは,よく知られています。たとえば……

結婚する予定の男女1万組を無作為に選び,数年にわたる追跡調査によってどちらがいつ死んだかを突き止められるとしてみよう。すると,結婚生活によって男性の寿命は7年延び,女性の寿命は2年延びることが統計分析からわかる。ほとんどの医療よりも大きな恩恵があるのだ。

この,結婚によって寿命が延びる大きな原因のひとつは,社会的なネットワークが大きくなることにあるそうです。確かに,結婚した方が地域とのつながりは強くなる傾向にありますし,子どもが生まれればまたそこでネットワークが広がります。

サポートし合う

どうしてネットワークが広がると,命まで左右されるのでしょうか。ひとつの考え方は,人々がネットワークを形成すればかならずそこで助け合う関係が生まれるからです。人々が助け合うというのは,わたしたちの世の中を動かす上での基本的な人間関係のあり方です。

そのような,人々が助け合うことをソーシャル・サポート(社会的支援)と言います。昔から,ソーシャル・サポートにはいくつかの種類のものがあると言われていました。

たとえば,情緒的サポートです。これは人の気持ちを支えたり,理解したり,共感したりするサポートのしかたです。「あなたの気持ちはよくわかる」と理解を示したり,悩みを聞いたり,慰めたり励ましたりする,サポートのしかたです。

ほかには,道具的サポートというものもあります。これは,実際に手を差し伸べたり,必要なものを提供するサポートのしかたです。

そのほかにも,役に立つ情報を提供する情報的なサポートとか,相手を認めてほめる評価的なサポートという分類のしかたもあります。

ふだんの人々のやりとりを見ていると,このようなサポートし合うという関係がよく見られることに気づくのではないでしょうか。

性格とサポート

では,このようなソーシャル・サポートはパーソナリティに関連するのでしょうか。また,どのように関連していくのでしょうか。

パーソナリティが社会的なサポートに関連する,いくつかの経路が考えられています。

1.人々は,自分のパーソナリティに従って自分の社会的環境を選択したり形成したりしがちである。
2.パーソナリティ特性は,他の人々からのサポーティブな反応やそうではない反応を得ることに関連しがちである。
3.パーソナリティ特性は,社会的サポートをどのように評価するかに関連する。

これらのプロセスを明確にすることは簡単なことではありませんが,ここから多くの仮説を考えることができそうです。

サポートと性格のメタ分析

実際に,どれくらいパーソナリティ特性とソーシャル・サポートの関連があるのでしょうか。この論文(The Five Factor Model of personality and social support: A meta-analysis)では,サポートをどのくらい受け取ったと認識しているかという点に注目して,ビッグ・ファイブ・パーソナリティとの関連を先行研究の研究結果を統合するメタ分析で検討しています。

ソーシャル・サポートを測定するというのも,なかなか簡単ではなさそうです。サポートを与える方に注目する方法もありますし,サポートを受けている側に注目する方法もあります。また,現実の行動を観察する方法や,自分で報告する方法もあります。この研究では,サポートを受ける側に注目して,各自がどれくらいサポートを受けていると思っているかという認識を評価の対象にしています。

さて,ビッグ・ファイブ・パーソナリティのうち,どの特性がいちばんソーシャル・サポートを受けているという認識に関連するでしょうか。

1.外向性
2.神経症傾向
3.開放性
4.協調性
5.勤勉性

ぜひ,予想してみてください。

先行研究を検索して,最終的に72論文に掲載された84調査(合計37,678名)が分析に用いられました。分析された相関係数は,624個もあったそうです。

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