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ブランドが持つダークなイメージ
皆さんは,どんなブランドが好きでしょうか。ファッションについてはどうでしょう,好きなブランドはあるでしょうか。自動車はどうでしょうか。東京に住んでいると自動車が必要ない,という人も多そうですけれども,地方に行くと自動車が不可欠になります。しかし,都心部で自動車を運転する人のほうが,自動車ブランドにこだわったりすることもあるでしょうか。
特定のブランドに対するパーソナリティが研究されることがあります。ブランドパーソナリティというのは,顧客の視点から見たブランドに関連する一連の人間的な特性だと定義されるそうです。顧客はそれぞれのブランドのパーソナリティを認識して,それが購買行動へとつながっていく可能性があります。
ものを買う行為
シグナリング理論という理論によると,ブランドの特徴・属性(多様性や信頼性など)は,顧客行動に影響を与えるとされます。顧客は多様な手がかりを使ってブランドの品質を評価していきます。そして特に高級なブランドの場合には,そのブランドをもつことがシグナルとして機能することで,高いステイタスや富の象徴として捉えられていきます。
しかし一方で,高級ブランド間の競争が激化していることを背景に,顧客があるブランドに対してネガティブな評価を行ったり,ネガティブな感情を抱いたりすることがあります。このような状態では,そのブランドがうまく発展することも妨げられてしまいます。
ブランドパーソナリティのネガティブ面
人間のパーソナリティ・モデルがブランドパーソナリティに適用されるのであれば,ネガティブでダークなパーソナリティを適用してもよさそうなものです。
では,マキャベリアニズム,サイコパシー,ナルシシズムという3つの組み合わせである,ダーク・トライアドについてはどうでしょうか。搾取的なマキャベリアニズム,冷淡なサイコパシー,自己中心的なナルシシズムといったイメージをもつブランドというのは,あるのでしょうか。
そして,ダーク・トライアド的なパーソナリティをもつブランドからは,道徳的な価値観が相容れないからと離れていくような顧客がいたりもするのでしょうか。
このあたり,ブランドを立ち上げている人たちにとっては重要な問題かもしれませんね。思ってもいないイメージを抱かれてしまい,本当は買って欲しい人にアプローチできない,ということが起きるかもしれません。では,こちらの論文を見てみましょう(Associations between a dark triad of features in luxury brand personality and customers’ behavior)。
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