
ワクチンを打とうとする意図に関連するもの
2021年10月現在,新型コロナウイルスのワクチンは接種を済ませたでしょうか。
私はすでに済ませていて,2回目にはなかなかの副反応と格闘していました。
ワクチンを打つか打たないか
日本でも今や多くの人々が新型コロナウイルスのワクチンを摂取していて,2回摂取した人の割合は7割を超えているようです。しかし,ここまで摂取が広まる前には,ワクチンを摂取するかどうか,議論もありましたよね。
ワクチンについてもさまざまな情報が飛び交っていて,その中で個々人が摂取するかどうかの判断を迫られていました。
何が関連する?
こういったワクチン接種に何か心理的な要因が関連するのでしょうか。
たとえば,行動免疫システムと呼ばれる心理的な働きです。行動免疫仮説と呼ばれることもあります。汚いものを避けようとしたり,感染しそうだと敏感に感じたりする傾向のことです。そのような心理的な傾向が,手洗いや消毒,そして予防接種へと人々を向かわせるという可能性です。
この傾向を測定する,感染脆弱意識尺度も作成されています。
ただし,これまでのワクチン接種との関連を見ると,一概に感染脆弱性意識が高いからワクチンを打つ,というわけでもないことがわかります。「ワクチンそのものが危ない」と感じれば,感染脆弱意識が高い人はワクチンを避けようとするかもしれないからです。
結びつけるもの
もしかしたら,感染脆弱意識とワクチン接種を結び付ける,ほかの心理要因が必要になるかもしれません。そこで,認知的完結欲求という心理特性に注目した研究が行われています。
認知的完結欲求は,問題に確固たる答えを求める,曖昧さを嫌う傾向のこととされます。感染脆弱意識の高さが,曖昧な状態であることを避けようとする傾向に結びつくと,何が起きるでしょうか。ワクチンについてあれこれさまざまなことが言われている中,不十分な証拠しかなくても,曖昧な状態が嫌いなのですぐに結論に飛びつこうとします。すると,(これは状況によると思いますが)「ワクチンをやめておこう」あるいは「ワクチンを打っておこう」とすぐに結論を下す可能性があります。
本当にそのような関連が見られるのでしょうか。トルコで行われた研究があります。こちらの論文を見てみましょう(Linking the behavioral immune system to COVID-19 vaccination intention: The mediating role of the need for cognitive closure and vaccine hesitancy)。
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