交通事故死者数が減った理由
この30年ほど,日本の交通事故死者数は減少してきています。
私が免許を取った1990年代には,年間1万人以上の交通事故死者数だったのですが,最近は三千人台になっています。ずいぶん減少しましたよね。
交通事故死の定義
こういう事故や死因についても「定義」が必要だということはご存じでしょうか。「数字なんだからはっきりしているのでは?」と考えるのは間違いなのです。
たとえば,駐車場で起きた事故は交通事故に含めるのでしょうか。また,事故が起きて何日後までの死亡を交通事故死と数えるのでしょうか。
現在では,交通事故がおきて24時間以内の死亡が「交通事故死」とされています。事故が起きて24時間以内に変わったのは1993(平成5年)からで,それ以前は事故が起きて30日以内の死亡を数えていました。
統計情報を検索すると,24時間以内の死亡と30日以内の死亡の両方の統計が出てくるのはそういう理由のためです。
交通事故死者減少の理由
交通事故死者減少が何の要因で生じているかを分析した研究があります。この論文(「人的側面からみた交通事故死者数の減少要因の分析」)です。
免許を取ると初心者マークをつけて運転しますよね。「初心運転者期間制度」が導入されたのは1990(平成2)年のことだそうです。また1998(平成10)年には75歳以上の免許更新に講習が義務づけられ,2002(平成14)年にはその年齢が70歳に引き下げられています。確かにこういう変化とともに死者数が減少しているのですが,全体的に下がってきていますので原因なのかどうかは確定できません。
では,他の要因について考えてみましょう。
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