PTSDのなりやすさに男女差はあるのか
PTSD(心的外傷後ストレス障害)とは,生命や安全が脅かされるような強いストレス(事故や災害,戦争,虐待など)を経験した後で,心身にさまざまな症状が現れる障害のことを指します。日常用語としても「PTSD」という言葉はよく使われますが,本来は「生命や安全が脅かされるような強いストレス」というところがポイントで,軽いショッキングな出来事から生じるものではありません(もちろん個人差はあるでしょうけれども)。
男女差
PTSDには男女差があると言われています。
◎男性はトラウマ的な出来事を経験する頻度が多い傾向がある
◎女性はPTSDを発症する可能性が男性よりも高い傾向がある
このように,どうも男女でPTSDに関連するプロセスには違いが見られるようですので,PTSDの予防には男女の違いを考慮することが重要なのではないかと言われることがあるようです。
PTSDはトラウマとなるような出来事という,明確な原因によって特徴づけられる疾患です。ですから,治療的な介入を始める基準も比較的はっきりしており,ほかの精神的な疾患と比べると予防や治療の可能性も高いと考えられます。
メタ分析
PTSDやそれに至るプロセスには,どれくらい男女で違いが見られるのでしょうか。PTSDのリスク要因に対して,男女どちらがどれくらい脆弱なのでしょうか。また重症度は,男女どれくらいの違いが見られるのでしょう。これらの問題を検討するために,過去の研究を統合するメタ分析を行った研究があります。
こちらの論文を見てみましょう(Sex and gender differences in risk factors for posttraumatic stress disorder: A systematic review and meta-analysis of prospective studies.)。
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