ポジティブな精神的健康が関連すること
そもそも以前は，精神的な健康というのはそれほど重視されてはいなかったという歴史があります。重要なのは身体的な健康であり，研究についても対処方法についても，精神的な健康というのは軽視される傾向がありました。
精神的健康
時代は下り，現在では精神的な健康や不健康はとても重視されるようになっています。たとえば先進諸国では，15歳から44歳の範囲における早期死亡の主要原因の多くを，精神的な障害が占めていると推計されているそうです。またヨーロッパでは，精神障害による疾病負担は，身体的な疾患とほぼ同程度だと言われています。
カテゴリか連続か
健康と不健康は質的に異なるものなのでしょうか，それとも連続しているのでしょうか。伝統的に医学的なモデルや診断は，カテゴリカルに「病気か否か」を判断するものです。一方で心理学では，連続的な次元的モデルが好まれます。
さらに次元的モデルは，1次元で表現するものと，多次元で表現するものに分けることもできます。たとえば，健康と障害は両極ではなく，別の次元だと捉える「2次元モデル」を想定することです。このモデルを採用すると，健康でも不健康でもない状態を表現することも，部分的に健康で部分的に不健康だという状態を表現することもできるようになります。
ポジティブな状態
ポジティブなメンタルヘルスの状態（PMH）は，さまざまな良い結果をもたらすと考えられます。いわゆるウェルビーイングに近い状態であるとも言えるのですが，精神的な状態が良好な状態に限定されます。
この状態は，ウェルビーイングと同じように，ポジティブな感情や満足度のような快楽的な側面と，自律性や成長や生きがいなどの意味的な側面に分けて捉えることも可能です。ポジティブなメンタルヘルスの状態（PMH）は，人生を楽しみ，人生の課題に対処する能力だけでなく，ポジティブな感覚も含むものだと考えられます。
何に関連するのか
ポジティブなメンタルヘルスの状態（PMH）は，どのような要因に関連するのでしょうか。新型コロナウイルス感染症（COVID-19）も含め，多くの要因との関係をレビューした研究が行われています。こちらの論文を見てみましょう（Predictive Power of Positive Mental Health: A Scoping Review）。
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