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行動を抑制する気質とその後の性格

乳幼児期に観察される,行動や感情面での安定した個人差のことを気質といいます。気質という言葉は,temperamentという単語の訳語です。ちなみにこのtemperamentは「体液の混合」という意味からきている単語なのだそうですが,それはもともと古代ギリシャ時代や古代ローマ時代から伝わる,人間の気質を大きく4種類に分類する四体液説・四気質説に由来しています。

行動抑制傾向

乳幼児期の気質には数多くの側面があることがわかっていて,多くの研究が行われています。

そのなかで注目される気質特性のひとつに,行動抑制傾向(behavioral inhibition)があります。行動抑制傾向は,不慣れな人,もの,状況に対して必要以上に慎重で,恐怖を抱き,回避的な藩王を示す傾向を特徴としています。全体的に臆病で,表に出ず,「引っ込み思案な傾向がある」と見なされるような子どもたちです。

皆さんが子どもの頃はどうだったでしょうか。

将来予測

では,このような行動抑制傾向が強い子どもたちは,将来何か特徴的な結果を示すのでしょうか。たとえば,行動抑制傾向が強いと,大人になったときに内向的でおとなしい性格になりがちだったりするのでしょうか。また,精神的な問題を示しやすいといった特徴は見られるのでしょうか。

14ヶ月時点での行動抑制傾向で,大人になった後の26歳時点のさまざまな特徴を予測することを試みた研究があります。30年間の追跡調査から得られたデータを分析するものです。なかなか貴重ですよね。では,こちらの論文を見てみましょう(Infant behavioral inhibition predicts personality and social outcomes three decades later)。

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