
地域のパーソナリティの特徴は安定しているのか
「お国柄」って,あると思いますか?
県民性に注目したバラエティ番組もありますし,それぞれの地方に行くと使う言葉も風習も違っていたりしますし,住んでいる人々の年収や教育水準や関心もそれぞれの地方で違っていたり……「違い」に注目すると,いくらでも例を挙げることができそうに思います。
アメリカの地域差
私は以前1年間大学からもらったサバティカル期間中のうち,4ヵ月をホノルル,8ヵ月をテキサス州オースティンで過ごしました。そのほか,学会で訪れた都市もいくつかありますが,たいていは大学がありそうな都市ばかりです。
とはいえ,アメリカの中にも県民性のような地域差があると言われています。たとえば北部の人々よりも南部の人々の方がフレンドリーで,見知らぬ人に対しても気軽に挨拶してくれるとか。私の経験では,ホノルルでもオースティンでも,とても皆さん気さくに話しかけてくれました。そのとき「ニューヨークやボストンでは,気軽に挨拶するってことはなかなかないよ」なんて耳にしたこともありました。
西海岸や東海岸の人々は,大陸中央部の人々よりもリベラルで,新しいものが好きで,それほど宗教を熱心に信じていないとか。特に下の本のように,アメリカの中では,政治的な志向性に結び付けられて地域差が論じられる,ということもよくあります。
地域差の研究
アメリカでは,パーソナリティ特性の地域差に関する心理学的な研究も行われています。それはそのうち記事でまとめて書こうかと思うのですが,今回はさらにスケールの大きな分析をしている論文を見つけましたので,紹介してみようかなと思います。
それはこの論文(The personality of U.S. states: Stability from 1999 to 2015)です。何をしている論文化というと,「アメリカの地域差は時代を経ても安定して見出すことができるのか」という検討を試みているものです。「時代変化」といっても,この15年間くらい(1999年から2015年)の期間ですけれども。
7つのサンプル
この研究で分析されているのは,アメリカ国内で大規模に行われた7つの調査です。
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