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SNS依存と健康行動との関連は?
若者たちのSNS利用に関しては,多くの議論があります。オーストラリアでは,16歳未満のSNS利用を禁じる法律が制定されていますし,フランスでは15歳未満の子供がSNSを利用する際に保護者の同意を必須とする法律が制定されているそうです。アメリカでは各州で異なりますが,フロリダ州では14歳未満の子供がSNSアカウントを開設することを禁止する法律が制定されているようです。
問題
これまでに多くの研究は,テクノロジーやスクリーンタイムやソーシャルメディアの利用が,思春期・青年期の幸福やウェルビーイングにおよぼす影響を検討しています。まず,置き換え仮説というものがあり,SNSに時間を費やすほど,日常生活の時間を奪っていくことで,問題が生じるという考え方です。
メディア効果に対する感受性の差異モデル(Differential Susceptibility to Media Effects Model, DSMM)というのは,メディアの影響が個人によって異なる理由を説明するための理論的枠組みです。このモデルは,人々がメディアに対してどのように反応するかは,個人の特性や状況によって異なることを説明します。
問題のあるソーシャルメディア利用(PSMU)は,SNS依存とも呼ばれる行動です。否定的な感情から逃れるためにソーシャルメディアを使用したり,ソーシャルメディア使用を減らすことができないといった中毒のような症状が特徴的です。
健康との関連
問題のあるソーシャルメディア利用と健康行動との関連は,どのようになるのでしょうか。
◎ソーシャルメディアに費やす過剰な時間が,運動や健康的な食事の準備など,健康増進活動に費やすはずだった時間を奪うことで不健康な食習慣につながる
◎ソーシャルメディアの利用などの座ったままの活動に従事することは,間食の機会の増加や食品広告へのさらなる接触につながり,食生活に悪影響を与える可能性がある
◎仲間関係は健康にとって重要であり,オンライン上の仲間関係は健康行動に影響する
欧米47ヵ国の若者たちのデータを分析するなかで,問題のあるSNS利用と健康との間の関係を検討した研究があります。こちらの論文を見てみましょう(The relationship between problematic social media use and health behavior: An exploratory specification curve analysis of large-scale survey data)。
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