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コカインと自己愛は依存的で似ている

自己愛性パーソナリティ障害は「NPD(Narcissistic Personality Disorder)」とも呼ばれます。おそらく症例としては多くはないと思いますが,臨床例としては,なかなか治療をすることが困難とされたり,治療に対する抵抗性が高いとか,再発リスクが高いともいわれています。

以前から臨床例の中では,自己愛的な傾向が2つのサブタイプに分けられています。ひとつは誇大なタイプで,恐れを知らず,自信に満ちあふれ,他者を支配しようとし,権力や支配を求める傾向が見られます。もうひとつは脆弱なタイプで,不安や落ち込みが見られ,内気で,プレッシャーやストレスを抱き,他の人の反応に過敏になる傾向があります。

両タイプの共通点

最近の研究では,この2つのタイプは安定した「タイプ」ではなく,相互に揺れ動くとも言われているようです。両者は共通点がありつつ,状況によって表への出方が異なるということのようです。

両者にどのような共通点があるかというと,まず肯定的な自尊感情を持つ点があります。加えて,その「素晴らしい」自己イメージを維持したいという過剰な欲求と,ほかの人々からの賞賛を強く求める傾向が加わります。この他者からの肯定的な評価を得ようとする傾向と,賞賛を求める傾向が,置かれた状況(とはいっても,その場その場での状況というよりはもっと長期的な環境を指すと思うのですが)によって,尊大な感じに出ることもあれば,敏感な感じになることもあるということではないでしょうか。

薬物

自己愛傾向が高い人は,アルコールやコカインなど物質使用障害(物質依存)にも関連することが報告されています。今回紹介する研究は,自己愛の特徴と,コカイン乱用における行動の特徴との共通点について考察することを試みています。

果たして,どのような共通点があるのでしょうか。こちらの論文を見てみましょう(Addicted to Self-esteem: Understanding the neurochemistry of narcissism by using cocaine as a pharmacological model)。

https://journals.sagepub.com/doi/full/10.1177/20438087211044362

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