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ロシアのウクライナ侵攻のニュースに触れたポルトガルの人びとの反応

割引あり

2022年2月24日,ロシアのウクライナ侵攻が始まりました。それ以来,国際連合難民高等弁務官事務所によると,820万人以上のウクライナ人が避難を余儀なくされているようです。戦争は,必ずと言っていいほど精神的な問題を引き起こすものです。ロシアのウクライナ侵攻も,同じです。



報道

近年では,紛争の様子はその地域だけでなく,広く世界に報道され,インターネット上でも多くの映像が流されるようになっています。ウクライナで起こっている悲惨な出来事に対しても,世界中の多く人々がアクセスすることができるようになっています。トラウマティックな映像に接することは,それ自体がストレス,精神病理学的な症状,精神疾患の原因となる可能性を秘めています。

テレビで多くの人々に紛争の様子を映し出すことは,視覚的なインパクトが強く,非常に多くの人々に影響をおよぼします。


メディア

メディアがストレスに影響する様子は,多くの研究で報告されています。

たとえばメディアに触れる時間の長さは,ストレスレベルとプラスの関連を示すことが報告されています。また,メディアを通じてトラウマに関連する話を目撃すると,以前からあるトラウマが長引いたり,ネガティブな反すうを促す可能性があるという報告もあります。

メディアを通じて集団で生じるようなトラウマ事象に間接的にさらされると,直接的な出来事を経験することよりも,急性なストレス症状が深刻化する可能性があるという研究知見もあります。しかし,メディアを介したトラウマ体験は,あまり研究はされていないようです。

戦争メディア

戦争のメディア報道を視聴する量が,どの程度,ストレス症状をもたらすのでしょうか。また,将来の戦争への懸念や不安が,ストレス症状にどれくらい影響するのでしょうか。

ロシアとウクライナの紛争に関する報道への接触と,個々人のストレス症状との関連を検討した研究が行われています。こちらの論文を見てみましょう(Does the media (also) keep the score? Media-based exposure to the Russian-Ukrainian war and mental health in Portugal)。

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