見出し画像

思考スタイルと知能指数

ものごとの考え方について,一定の方向性をもって処理する,好んで行う方法のことを思考スタイルと呼ぶことがあります。

思考スタイルには個人差があって,状況や時間を超えてある程度一貫するということが想定されています。まるで「性格(パーソナリティ)」のような概念の扱いかたです。思考スタイルもパーソナリティも,多くの場合は質問項目(文章と選択肢のセット)で測定されます。そういった測定方法もよく似ています。

また,パーソナリティの概念の定義の中には,思考スタイルのような要素が含まれている場合もあります。たとえばビッグ・ファイブ・パーソナリティのうち開放性には,拡散して伝統にとらわれない思考をとりがちという要素が含まれます。これも,一種の思考スタイルのようなものと言えるのではないでしょうか。

思考スタイルと知能

思考スタイルは「思考(thinking)」ということばが使われているので,認知的な側面や知的な側面だけに関連すると思われがちですが,必ずしもそうではありません。経験や環境要因ももちろん,そこには関連してくると考えられます。

しかし,では思考スタイルと知能指数はいったいどれくらい関連するのでしょうか。「思考」ですので,より賢いとされる思考のスタイルや,より社会において適切だとされる思考のスタイルというものがあるのではないでしょうか。

そういう適切だとされるスタイルは,知能に関連するのでしょうか。

実際の関連は?

そこで,思考スタイルと知能との関連をメタ分析で検討した研究を見てみましょう。この論文です(Meta-analytic relations between thinking styles and intelligence)。

ここから先は

1,507字
【最初の月は無料です】心理学を中心とする有料noteを全て読むことができます。過去の有料記事も順次読めるようにしていく予定です。

日々是好日・心理学ノート

¥450 / 月 初月無料

【最初の月は無料です】毎日更新予定の有料記事を全て読むことができます。このマガジン購入者を対象に順次,過去の有料記事を読むことができるよう…

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?