
円形脱毛症の経験談からわかること
円形脱毛症は,頭皮やその他の体毛が突然円形または楕円形に抜け落ちる症状を示すことです。これは一種の自己免疫疾患で,調査によると約2.5%の人々が症状を示すようです。アメリカ合衆国やイギリスでは,1年間に1000人あたり0.21人から0.26人が円形脱毛症を発症するそうです。
ちなみに,円形脱毛症は英語ではalopecia areataと言って,「AA」と略されるそうです。
円形脱毛症
円形脱毛症と言われますが,頭皮または顔面の斑状の脱毛もあれば,眉毛やまつげを含む頭皮全体や全身の脱毛におよぶことがあります。
この症状の正確な原因は不明で,遺伝的な要因が関与していることは知られているそうです。円形脱毛者の第一度近親者(親子など)では,障害有病率は6%から8%と高くなるようです。もちろん,100%遺伝的に伝わるなんていうことはないのですが,一定の遺伝的な重なりがあると,円形脱毛症も重複が生じるようです。
性別に関しては偏りはよくわかっておらず,全体として成人期初期から中期にかけてが発症のピークとなるようです。とはいえ,広い年齢範囲です。
ウェルビーイング
多くの場合,円形脱毛症は長期間にわたる予測不能な脱毛,発毛,再発を伴います。治療的な介入は部分的な有効性しか示さず,メタ分析の結果からも,単一の治療方法が優れているという結果は示されていないようです。
円形脱毛症は,身体的な健康上の影響というよりも,外見への影響や予測しづらい経過から,自尊感情や心理的ウェルビーイングに悪影響をもたらす可能性が高いと言えます。円形脱毛症をもつ人々は,そうではない人々に比べて,抑うつ,不安,健康関連の生活の質(QOL)の悪化などが報告されています。特に,羞恥心や社会的相互作用がQOLの悪化から生じる可能性も考えられます。
インタビュー
円形脱毛症の心理的な側面からの研究は,まだあまり行われていません。このような場合の研究の第一歩として,インタビュー調査から詳細に検討していくことには意義がありそうです。そこで,実際にインタビューをしたこちらの論文を見てみましょう(Men’s experiences of alopecia areata: A qualitative study)。
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