
2021年によく読まれた記事の振り返り(3)
さて,大晦日になりました。皆さんはどんな1年を過ごしてきたでしょうか。
2021年に読まれた記事のまとめも今回で3回目,最後になります。今回は,2021年に投稿した記事のなかから,よく読まれた記事3本を紹介していきたいと思います。
パーソナリティ生涯の遺伝
今年投稿した記事のなかでいちばん読まれたのは,『パーソナリティ障害はどれくらい遺伝するもの?』でした。
この記事で紹介しているのは,クラスターBというパーソナリティ生涯のグループです。
◎境界性パーソナリティ障害:対人関係や自己像の不安定さ,過敏さ
◎反社会性パーソナリティ障害:他者の権利や行為の結果を軽視する
◎演技性パーソナリティ障害:過度にほかの人の注意をひこうとする
◎自己愛性パーソナリティ障害:自己の誇大な感覚と称賛への欲求
これらのパーソナリティ生涯それぞれについて,ふたごを対象にした調査から,どれくらいの遺伝率なのか,環境の影響力がどれくらいなのかを推定しています。詳しくは是非,記事をどうぞ。
身近な優生学
次によく読まれた記事は,『身近なところにある優生学』です。
優生学というのは,「人類の遺伝的素質の低下を防ぎ,優秀または健全な素質を高めることを目的とする学問」だとされます。そしてここから派生した優生思想という考え方があります。
優生学というとナチスドイツのことを思い浮かべたり,これまでにも凄惨な事件の背景に優生思想があるという記事も書かれたりしていますので,私たちにとって遠い考え方だと思いがちです。
でも,私たちが普段考えていることから,簡単に優生学的な思想へと結びついていってしまう可能性があるのではないかということを,この記事のなかでは書きました。たとえばこんな感じです。
◎自分は多くの税金を収めている → こんなに税金を納めているのだから有効に活用してほしい → 社会に貢献する人に役立ててほしい → 社会に貢献できない人には使ってほしくない
また,こんな考え方にも馴染みがあるはずです。
◎自分は努力してそれなりに成功してきた → 成功できていない人は努力が足りないのではないか → 社会から援助を受けている人は努力が足りない人に違いない → そんな人に援助を与えるのは間違っている
こういうのはどうでしょうか。
◎少子化で社会を支える人々は減りつつある → もっと支える人がいなければ社会が成立しない → 社会に貢献できない人は存在価値がない → 貢献できない人を助けることにどんな意味があるのかわからない
こういった思考プロセスには,本当にすぐに陥るものです。では,どうすればいいのか,是非考えていきたいものですね。
就活の面接
最近投稿した記事のなかでも,よく読まれたものがありました。『人を選ぶときには気の向くままに面接をしてはいけません』という記事です。
就活の面接というのは,
◎人を選抜するテスト
◎将来のパフォーマンスを予測するテスト
という側面があります。一種の「テスト」であると捉えることが可能です。ということは,心理学で用いるテストのように,妥当性の検証ができるはずです。そこで,将来の職業パフォーマンスを面接がどれくらい予測できるのかという研究を紹介したのがこの記事です。
面接にもいくつかのものがあるのですが,面接の仕方によっても予測力が変わってきますよ,ということも研究で示されています。こういった研究も重要ですね。
2022年
さて,2021年も記事の投稿を続けることができました。2022年も引き続き,面白そうなものを見つけて投稿していきたいと考えています。
皆様,よいお年をお迎えください。
これからも引き続き,どうぞよろしくお願い申し上げます。
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