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ダークな特性と性格の統合因子との関係
パーソナリティ全体の構造がどのようになっているかという問題は,20世紀を通じてさまざまに研究されてきました。20世紀の終わりくらいにかけて,ビッグ・ファイブ・パーソナリティが研究者たちのコンセンサスを得るようになってきたのですが,21世紀に入ってからもまだまだ研究は続いています。
上位因子
20世紀末頃から21世紀にかけて,「ビッグ・ファイブ・パーソナリティの上位の因子には何があるのか」という研究も行われてきました。
たとえば1997年の論文でDigmanは,情緒安定性(神経症傾向の逆),協調性,勤勉性の上位にある因子をベータ(β),外向性と開放性の上位にある因子をアルファ(α)と名づけました。
他にも,21世紀に入ってからDeYoungたちは,Digmanのベータ因子と同じ因子を見出して「Stability(安定性)」,アルファ因子と同じ因子を「Plasticity(可塑性)」と名づけています。
もっと以前から,パーソナリティといいますか人間の行動やさまざまな反応や態度などの様式全体を大きく2つの次元から捉えようとする枠組みは研究されてきました。たとえば共同性(communion)と作動性(agency)という2次元もそうです。
これらはだいたい同じような方向性をもった次元とも言えます。
◎β因子,Stability,共同性 = 協調性,世話,集団の維持などの方向性
◎α因子,Plasticity,作動性 = 支配,勢力,地位の上昇などの方向性
GFP
アイデアとしては100年以上前から存在するのですが,特に21世紀に入ってから盛んに研究する何人かの研究者が登場したのが,パーソナリティの統合因子であるGFP(General Factor of Personality)です。
以前も書いたことがあったように思うのですが,海外の学会に参加し始めた頃,たまたまふらっとGFPの発表が集まったセッション会場で発表を聞いていたところ,このアイデアに反対する先生たちと賛成する先生たちとの激しいディスカッションが始まって面食らった記憶があります。
GFPの研究はたくさん出てくるのですが,全体的にGFPは望ましい(その逆方向は望ましくない)パーソナリティ特性だと捉えられることが多いと言えます。そして,多くのパーソナリティの自己評定,他者評定を行うと,なぜか1つの因子に収束する傾向も,確かにあるのです。
階層構造としては,1つの因子の下に先ほどの2因子があり,その下にビッグ・ファイブ・パーソナリティ,その下にビッグ・ファイブ・パーソナリティのファセット(下位側面)があるような配置となっています。
ダークな性格と
さまざまな特性との関連が検討されているGFPなのですが,ダークなパーソナリティとの関連について検討した研究というのは見たことがありませんでした。というわけで,今回は両者の関連を検討している研究を紹介しましょう。こちらの論文です(General Factor of Personality and Its Relationship with the Dark Triad and Social Intelligence in Slovenian Adolescents)。
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