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共感性は創造性につながるのか
普段の生活の中での創造性は,革新的な思考能力を高め,自分自身や他者のアイデンティティを探求し,新しい知識を生み出すことで,人間の生活において重要な役割を果たすものだとされています。また創造性は幸福度を高め,人生に意味や目的意識をもたらします。
創造的な生活を送ることは,多くの人々にとってとても重要な要素だと考えられています。
日常の創造性
普段の何気ない活動の中で,創造性は発揮されていると考えることができます。仕事,教育,趣味など,さまざまな場面で創造性が発揮されます。他にも,絵画,執筆,演奏などの活動でも見られますし,もっと身近な料理,修理,買い物,ガーデニングなど日常的な生活の中でも想像性は見られます。
創造性を包括的に理解するための枠組みとして,「4つのCモデル」というものがあるそうです。
◎Mini-C:個人的な創造性。新しい経験や学習プロセスの中で個人が発見した創造的なアイデアや解釈
◎Little-C:日常的な創造性。一般の人々が日常生活の中で行う創造的な活動
◎Pro-C:専門的な創造性。特定の分野で専門的なトレーニングを受け,創造的な業績を上げる活動
◎Big-C:歴史的・天才的な創造性。時代を超えて影響を与えるような創造的な成果
日常生活の中で見られる創造性は,「Little-C」のレベルです。画期的な科学的な成果や文化的な進展をもたらすものではありませんが,生活の中での創造性は,私たちの創造性の大部分を占めていると考えられています。また,創造的な成果を挙げるためには,日常的な創造性が不可欠だとも考えられているそうです。
共感
共感は,他者の精神状態を理解し共鳴することです。これは,進化の過程のなかで人間が獲得してきた能力だとも考えられています。おそらく,歴史のなかで人類が複雑な社会構造をもつようになってきたことにも関連しているのでしょう。しかし個人に注意を向けると,特定の状況に応じて共感の反応を調整することもできます。
共感と日常的な創造性との関連を示す証拠は,明確ではありません。しかし,お互いにプラスの関連も報告されているようです。
共感能力が高まると,社会的な人間関係が豊かになり,認知の枠組みが広がり,新たな視点が導入される可能性があるとされます。共感は,個人が問題を複数の視点から認識することを可能にし,認知の柔軟性を高め,より革新的で創造的な解決策を育むことができるかもしれないのです。
また共感能力の高い人は,問題を多様な角度から捉える傾向が強いため,個人の創造的なパフォーマンスが向上する可能性もあります。共感はポジティブな社会的相互作用を促進することで,日常的な創造性を高める環境を作り出すことができるとも予想されます。
関連
実際に,共感は創造性に関連するのでしょうか。2つの研究から検討を行ったものがあります。こちらの論文を見てみましょう(Empathy to Creativity: The Associations Between Empathy and Everyday Creativity)。
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