感情が冷たい子どもが持つリスク
近年,冷淡で感情に欠けた(callous-unemotional)特性が注目されることがあります。「CU」と略されることもあるのですが,他人を無視するような行動パターンが継続的に見られて,共感性や感情を感じる傾向が欠けていることを特徴とする,一種のパーソナリティ傾向です。
英語版のWikipediaにも,callous-unemotional traitsの項目が作られていました。
素行障害
精神疾患の診断・統計マニュアル第5版(DSM-5)にも「conduct disorder」という診断名が書かれています。以前は「行為障害」と訳されていたので私もそのように覚えていたのですが,DSM-5からは「素行障害」と訳されるようになっています。
素行障害は,子どもに対してつけられる診断名だという点がポイントです。大人になると,このような特徴は反社会性パーソナリティ障害という名前がつけられるようになりますが,15歳以前には素行障害の兆候が見られることが多いそうです。
冷たさ
素行障害や反社会性パーソナリティ障害にも関連するのが,この冷淡で感情に欠けた(callous-unemotional)特性です。
素行障害が子どもたちの診断,反社会性パーソナリティ障害が大人たちの診断であり,反社会性パーソナリティ障害と診断される以前に素行障害の特徴が観察されるということは,この冷淡で感情に欠けた(callous-unemotional)特性は安定して継続するのではないでしょうか。
縦断的な研究
地中海のキプロス共和国で,1年間にわたって子どもたちを追跡したデータセットを分析した研究があります。その中で,この冷淡で感情に欠けた特性が分析されていますので見てみましょう。こちらの論文です(Stability and change in callous-unemotional traits: Longitudinal associations with potential individual and contextual risk and protective factors)。
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