研究者RPG(6):すごい研究者の日々
さて,今回こそ最終回です。これまで5回にわたって,研究者が書いた論文の被引用回数について書いてきました。
研究者RPG(1):研究者の評価
研究者RPG(2):論文の被引用回数について
研究者RPG(3):就職するための被引用回数
研究者RPG(4):一流研究者たちの被引用回数
研究者RPG(5):伝説的研究者の被引用回数
最後は,私が見た範囲に過ぎないのですが,すごい研究者の姿や印象,どうやって研究業績を増やしているのか,どういう戦略が立てられているのか,などについて書いてみたいと思います。
目次
相手をしてくれない
まず,これは何度か聞いたことがあるのですが,すごい研究者たちはいきなりメールを出したり問い合わせをしたりしても,返答をくれないことがしばしばあります。
「メールを出したのだけれど,全然返事が来ないのですよね」という話は複数の人(院生や駆け出しの研究者,若手の研究者)から聞いたことがあるのです。どうも,相手の立場や力量を見て返事を出すかどうかを決めているようです。そのように言っている若手研究者もいました。
もちろん,中には誰でも返事をくれる素晴らしい研究者もいますけどね。
たぶん,彼らのもとには毎日,世界中からいろいろな問い合わせが来るので,いちいちすべてに返事を出していないのでしょう。
国内でも,企業の方に「何人かメールを出したのですが,返事をしてくれたのは先生だけなのです」と言われることがあります。意外と皆さん返事を出さないものなのだな,と思ったことがあります。私の場合は,それが何につながるか分からないので,通常の問い合わせであればできるだけ返事だけは出すことにしています(必ずというわけではありません)。
検索結果に出る
研究者にとって「自分の名前を検索して研究業績一覧がちゃんと出てくること」は重要だと思います。大学院生も自分の研究者としてのwebページを作っておいたほうがいいですね。そして,研究業績リストを増やす努力をしましょう。
たとえばテキサス大学で最初に,教員メンバーの昼食会に誘われて参加しました。そのあとで,そこで初めて会った某先生にお礼のメールを書きました。メールのフッタに研究室の英語ページのURLをつけてあったのですが,その先生はちゃんと私のページをチェックして「君のこの研究業績には興味があるのでこの院生が話を聞きに行くよ」と返事が来たのです。
連絡することにメリットがあると思えば連絡が来ますし,ないと思えば来ない,というのは非常にシンプルな法則です。
学部生の相手をしない
これも,もちろん大学によります。研究大学であるか,そうではないかという違いが大きそうです。
アメリカの大学に勤める知り合いは,勤務している大学から「学部の授業に力を注ぐな」と言われるそうです。専任教員は研究と研究者養成に力を注ぐべきであって,基礎的な授業をする必要はない,ということなのだそうです。相手をする学部生は,研究室に所属してくる学生だけです。
その分,若い研究者や非常勤講師,任期付きの教員が数多くの授業を担当することになります。大学院生も授業を担当することがあります。
ただし,とても大規模な学部生向けの授業を担当している人も知っています。それは半分くらいは学生の調査対象者を確保するという動機づけと,やってみたい授業を展開させるためという理由もあるように思います。そこでも,TAは多いですし,授業をサポートする体制の充実ぶりは感心しました。
楽しそう
知り合いの研究者たちを見ていると,そんなに悲壮感漂う印象というものはありません。
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