
コロナ禍のソーシャルメディアとウェルビーイング
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)だけでなく,世の中が不穏な雰囲気になると,人びとは安心を求めるために情報を集めていきます。しかし,インターネットやソーシャルメディアをどんどん使っていくと,そちらに注意ばかり向け,インターネットの情報がないといてもたってもいられなくなり,ますます依存状態へと陥っていくかもしれません。
メディアに注目したり依存したりすることは,不安を喚起する可能性があります。さまざまな情報を見るなかで,不安がかき立てられる可能性があるからです。また不安は,生活や人生における全体的なよい状態であるウェルビーイングを低める可能性があります。
中国の研究
今回紹介する研究は,中国で行われたものです。中国に住む人々のテレビ,新聞,ソーシャルメディアの利用を調査し,メディアへの依存や注意が,不安を介してウェルビーイングの低下をもたらすかどうかが検討されています。
加えて,自分よりも集団を優先させる価値観である集団主義傾向についても,検討されています。集団主義的な人は,自分を集団との関係でとらえ,集団の目的を優先し,コミュニケーションをとる際に文脈を重視する傾向があります。中国などの東洋の社会は基本的に,集団主義的な社会と言われます。集団主義的な社会のなかで集団主義的な人は,社会のなかにうまく適応している人だとも考えられます。すると,ネガティブな効果も低くなる,ということが見られたりするのでしょうか。
では,こちらの論文で結果を確認してみましょう(Pathways Linking Media Use to Wellbeing during the COVID-19 Pandemic: A Mediated Moderation Study)。
https://doi.org/10.1177/20563051221087390
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