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ダークな性格を生み出す予測不可能性
21世紀に入ってから研究が盛んになった性格(パーソナリティ)の枠組みが,ダークなパーソナリティの枠組みです。ダーク・トライアドは,マキャベリアニズム(ほかの人を自分の利益のために利用する),ナルシシズム(誇大で自分の権利を主張する),サイコパシー(冷淡で倫理観が欠如)の3つの枠組みです。
注目
ダークなパーソナリティが注目された理由のひとつは,進化論や適応面での理論に結びついたところにあります。進化心理学的な説明の中では,ダークな性格が短期的な生活史戦略に結びつくという話が展開しています。
短期的な生活史戦略とは,人生の中で多くのパートナーや多くの子どもをこの層とすることに注力して,子どもに対して多くの投資をしないという戦略を指します。人生のどの部分に資源を投入していくかという問題なのですが,ダークな性格の持ち主は,多くのパートナーと関係を持ち,子どもが生まれてもあまり熱心に投資をおこなわない傾向があるとされています。
厳しい環境
パーソナリティ発達に対する幼少期の役割を理解する際に,環境の厳しさが注目されています。裕福な地域で育ったのか貧困地域で育ったのか,家庭の中が混沌としていたのか整理されて清潔な状況で育ってきたのか,といった環境の条件が厳しさというものです。このような環境の厳しさは,見通しが立たないという予測不可能性につながります。
環境の予測不可能性は,リスクをとる行動の多さや,先ほど説明した短期的な生活史戦略にもかかわると言われています。そして,環境の厳しさや予測不可能性は,ダークな性格の形成にもかかわるのではないかと指摘されています。
とはいえ,このあたりの問題はまだ曖昧な状況です。そこで,幼少期の厳しさや予測不可能性が,その後の人生におけるダークな性格の形成にかかわるかどうかを検討する必要があります。この点について検討した研究があります。こちらの論文を見てみましょう(Resources, Harshness, and Unpredictability: The Socioeconomic Conditions Associated With the Dark Triad Traits)。
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