
リーダーとフォロワーのナルシシズム
ナルシシズムは,自分自身にたいして誇大で壮大な感覚を抱くことを中心として,それだけでなく自己意識が強く,特権意識を伴い,成功や賞賛を追い求める強い欲求も特徴とします。いわば,複数のパーソナリティの複合体としてのまとまりをもつのがナルシシズムです。
リーダーとフォロワー
これまでの研究では,ナルシスティックなりーダーたちがフォロワーや従業員たちの職務の妨害をしがちだという報告が多く,フォロワーたちはやる気を削がれて,発言しなくなるという傾向が見られるようです。
一方で,フォロワーのナルシシズムについては,あまり研究が進んでいないようです。フォロワーのナルシシズムを考慮すると,リーダーのナルシシズムの影響力が変わってくる可能性が考えられます。ナルシスティックなフォロワーは,そうではないフォロワーよりも,ナルシスティックなリーダーをより許容するかもしれません。
ナルシシズムが高い人々は,自分に似た人々と一緒にいることで,自分に対するポジティブな感覚を維持しやすくなる可能性も考えられます。私たちは類似した特徴を持つ人たちと一緒にいると居心地が良く,関係性も良くなる傾向が見られます。ナルシシズムについても,同じようなことは言えるのでしょうか。
支配感
他者と関係する中で、貴重な資源に対するコントロールを知覚することから生じる,他者に影響を与える自分の能力の知覚のことを,権力感(パワー感)といいます。心理的な権力の感覚は,職場の中で自己主張的な行動を促すとされているそうです。職場の中での発言は社会的な影響力を伴います。ナルシスティックな人物は他者に影響を与えることができると考える傾向も強いので,ナルシシズムは権力感にも結びつきやすいと考えられます。
リーダーもフォロワーもナルシシズムが高い場合,互いの権力感覚を増幅し合い,よりパワーの感覚が高まっていく可能性があります。
このあたりの問題について検討した研究がありますので,結果を確認してみましょう。こちらの論文です(Man in the mirror? Exploring the influence of leader and follower narcissism (in)congruence on follower voice)
ちなみに,この論文のタイトル『Man in the mirror』で思い出すのは,マイケル・ジャクソンのこの曲です。
こちらも聞きながら,見ていきましょう。
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