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レイプ神話を受け入れる傾向に関連する性格
性的な暴力は,世界中で大きな問題を引き起こしています。重大な人権侵害であり,年齢,性別にかかわらず生じる問題です。
性的暴力
日本でも性的暴力の問題は根深いものがあります。海外を見ると,たとえばイギリスでは,イングランドとウェールズだけでも,毎年618,000人の女性と155,000人の男性が性的被害にあっていると推計されています。
しかし,性的な被害は,被害報告が過少申告であることも多く,正確な発生率を把握することは難しい状況にもあります。
レイプ神話
性暴力やレイプに関連して広く信じられているけれども,事実に基づかない誤った信念や偏見のことを「レイプ神話」といいます。具体的に良くあるのは,次のような言説です。
◎ 「被害者が挑発したから悪い」
◎ 「知っている人から襲われることはレイプではない」
◎「男性は被害者にはならない」
◎「抵抗しなかったなら,同意を意味する」
◎「被害者が加害者と関係を持っていたらレイプではない」
性的な被害に遭ったケースを見聞きしたときに,「被害者にも落ち度があったのではないか」という意見が出てくることは,ネットの中ではよく見かけます。このような発言は,レイプ神話を受け入れていることから生じるものです。
要因
レイプ神話や性的な攻撃に関連する神話を受け入れる傾向については,心理学の中で多くの研究が行われています。大部分の研究では,女性よりも男性のほうがレイプ神話を受け入れる傾向が強いことを示しています。また,アメリカでは民族要因も報告されており,黒人・アジア人・その他のマイノリティ(BAME)と白人との比較が検討されています。一部の研究では白人の受容が高く,しかし白人の受容が低いという研究もあって一貫していないようです。
パーソナリティ(性格)も要因に挙げられます。特にサイコパシーは,冷淡さ,自己中心性,対人操作,罪悪感の欠如などと特徴とするパーソナリティ傾向です。サイコパシーは反社会的な行動に結びつくパーソナリティ特性だとも考えられていますが,反社会的行動がサイコパシーの中心的な特徴ではなく,サイコパシーの行動的な表出や結果だと考えるのが適切です。
調査
サイコパシーとレイプ神話との関連を検討した研究はあまり多くないようです。もしも両者に関連があれば,サイコパシーが反社会的な行動に結びつくプロセスを考える上でも重要な研究知見となりそうです。
実際にどのような関連が見られたのでしょうか。こちらの論文を見てみましょう(Investigating the role of psychopathic personality traits, gender and ethnicity in rape myth acceptance)。
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