ナポレオン・コンプレックスはダークな性格に関連する
ナポレオン・コンプレックスという言葉があります。これは,身長が低いことというのは男性にとって不利なことであり,そのことによって背の低さを補償する(補ったり強さを誇示したりする)ような行動を示す,というものです。代表的な補償行動としては,攻撃性の高まりなどを挙げることが多いようです。
これまでにも,ナポレオン・コンプレックスについては記事に書いたことがありました。こちらもどうぞ。
劣等感なのか
精神分析学の理論ではコンプレックスという言葉を使いますよね。すでに一般的な言葉になってしまっているかもしれませんが,でも英語でcomplexといえば「複合体」とか「複雑な」とか「総合施設」という意味もあったりします(シネマコンプレックス,とか)。いろいろな物が混ざり合って複合体になっている状態が,コンプレックスです。
日本語で「それが自分のコンプレックスなんだよね」という言葉を使うのは,コンプレックスの中でも他の人より劣っていることに伴う感情や評価やいろいろな心的要素を指す,inferiority complexのことを指しているのではないでしょうか。
さて,では,ナポレオン・コンプレックスというのは,本来は男性は身長が高くあるはずだという中で自分の背が低いという事実に伴うさまざまな心的要素の絡まり合い,ということになるのでしょうか。
ボディ・イメージ
身長の高さは,ボディ・イメージに密接に関係しています。そしてボディ・イメージは自分自身の満足度や自尊感情にも強く結びつくことが知られています。加えて,身長についての自己認識は,パーソナリティ特性にも関連するのでしょうか。たとえば自己愛(ナルシシズム)は,摂食障害やボディ・イメージに関連することが知られています。
そこで,身長と自己認識,そこにダーク・トライアド(マキャベリアニズム,ナルシシズム,サイコパシー)がどのように関連するのかを検討してみたらどうなるでしょうか。実際にこの検討を行っている,こちらの論文を見てみましょう(The Napoleon complex, revisited: Those high on the Dark Triad traits are dissatisfied with their height and are short)。
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