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結局は地道な勉強が創造性を助けるという話
皆さんは,「素人の方が良いアイデアを考えることができる」というイメージを持っていますか?
では,素人としてのアイデアを発揮してみましょうか。
心理学では創造性を測定する検査があります。よく知られているのは,次のような内容です。
ここに素焼きのレンガが1つあります。この1つのレンガの使用方法を,できるだけたくさん考えてください。ただし,何かの目的のために使用することに限ります。また,実現可能なものに限ります。
どうでしょうか。レンガに詳しい人もそうではない人も,ぜひいちどアイデアを出してみてください。
他の人が思いつかないこと
ここで測定される「創造性」というのは,「拡散的思考」と呼ばれるものに置き換えられます。拡散的思考というのは,既存の知識からできるだけ広げて新しいアイデアを導き出すような考え方のことです。
さて,先ほど考えたレンガの使い道の中で「他の人が絶対に思いつかないだろう」という自信のあるものはありますか?
実際にこのような拡散的思考のテストの場合,他の人たちが思いつかないものほど得点が高くなるように配点します。つまり拡散的思考が測定されるときには,「他の人が思いつきにくい,その人だけが独自に導いたアイデアかどうか」を得点化しているというわけなのです。
実際の創造性
「でも待って」と思いませんか?
普段の生活の中で思い浮かべる創造性と,このような方法で測定する拡散的思考は何かズレているのでは?と思う気持ちも,よくわかります。
おそらく,普段の生活の中での「創造性」というのは,ある種の結果論なのです。
つまり,あるアイデアが何か大きな社会の中で,商品において,学問で,実際に大きなステップにつながっているときに,そのアイデアに対して「創造性が発揮された」と呼んでいるのではないでしょうか。荒唐無稽で実現不可能なアイデアは,それを「創造性が発揮された」とはあまり言わないように思います。
さまざまな突飛なアイデアのうち,実際に何かになったものだけが「良いもの」だとされるのでしょう。ですから,レンガの使い道を使った創造性検査を見ると「それは創造性なの?」と疑問に思えてしまうと考えられるのです。
研究のネタが見つからない
毎年,学部生が4年生になると卒業研究(私の学部でゼミに入ると「ゼミ論」と言います)に取り組みます。そして,なかなかテーマが決まらず悩む姿(どれくらい本気で悩んでいるのかはわかりませんが)を目にします。
たまに学生が私に「研究のネタがなくなることはないのですか?」と聞いてくることもあります。おそらくなくなるどころか,たぶん「やりたいと思うことをすべてやる前にリタイアするんだろうな」と思っているくらいで,尽きることはないと思います。アイデアはすべて形にはなりませんし,取り組むことの優先順位もあります。「そのうちやりたいな」と思いながら10年くらい過ぎてしまうこともありますし,その間に他の誰かが取り組むこともあるでしょう。論文を読んで「ああ,そういえば昔,そんなことを考えていたな」と思うこともたまにですが,あったりします。
わからない理由
卒論で「何をしていいのかわからない」と考えてしまう背景にはいくつかの理由があります。
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