
子どもの性格について親と教師の意見の一致度はどれくらい?
学校での自分の子どもの様子というのは,家庭のなかではわからないものです。保護者会で担任の先生から話を聞いてはじめて,「こんな様子だったんだ!」と,自分の子どもの知らない一面を知ったりすることもあります。
でもこれって,研究をする上では大きな問題です。
なぜなら,子どもの様子について,親にからアンケートの回答を得たり,教師から回答を得たりして,そのデータを分析していくことがよく行われるからです。親と教師の回答が大きく違ってしまうと,研究の根本的なところが問題になってしまいます。
どれくらいの違いなら許容できる?
ひとつの観点は,どれくらい一致していれば許されるかという問題です。
対象はひとりの子どもだとはいえ,異なる複数の人が判断するのですから,当然,その判断の内容は異なってきます。まったく同じになることは想定しづらいですよね。でも,全く違うという状況も困ってしまいます。
実はこういう話をしたときに,人によって判断の基準もまた違ってきてしまうから困るのですよね。少しでも違えば「違う」と考える人もいれば,全く違うという結果が出たときに初めて「違う」と考える人もいるのです。事実は,たいていその中間くらいにあります。
相対評価
もう一つの観点は,性格のどの側面について意見が一致しがちで,どの側面が異なりがちなのかを明らかにすることです。外向性は外から行動としてよく見えそうですので,親も教師も意見は一致しそうです。でも神経症傾向のような内面の揺れ動きだと,外から見てもあまりよくわからず,長年一緒にいる親には見えるけれども授業のなかだけで接する教師にはあまり見えなくなって,あまり意見が一致しないということが生じるかもしれません。
どの性格も,同じ程度におもてに表れるわけではないということです。
親と教師の意見の一致度
では,実際に,親と教師は,子どもの性格についてどれくらい意見が一致するものなのでしょうか。この論文を見てみましょう(Parent-teacher agreement on 7Yearold children's personality)。
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