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ナルシストは良いリーダーになれるのか

ナルシシズム(自己愛)という概念は,100年以上前のジグムント・フロイトの精神分析学の説(概念としてはそれ以前のもっと昔)にまでさかのぼります。そこですでに,自己愛とリーダーシップについて触れた部分があるのだとか。


自己愛の種類

基本的に自己愛傾向という概念は,自分自身に対する誇大でポジティブな感覚を基礎とするものです。しかし,中身をより細かく分けることもできます。

たとえば,誇大な自己愛と脆弱な自己愛です。どちらも自己中心的な特徴は共通しているのですが……

○誇大な自己愛:主体性と外向性を中心とする
○脆弱な自己愛:ナルシスティックな特徴を伴う神経症傾向を中心とする

脆弱な自己愛は,自分自身に対する能力の足りなさやあまり自尊感情が高くない状態を伴いますので,あまりリーダーになろうとはしないと予想されます。誇大な自己愛の側面の方が,リーダーシップに結び付きそうです。

誇大な自己愛の2側面

誇大な自己愛のなかにも,いくつかの側面があることがわかっています。

○拮抗性:傲慢,無慈悲,欺瞞,特権意識,皮肉屋
○エージェンティックな外向性:自己肯定感の高さ,自己主張性の強さ,表面的に魅力的

エージェンティックな外向性は「賞賛の側面」とも言われます。これは自己主張,自己宣伝,他の人に勝っているという感覚,出世を目指すこと,成功への動機付け,達成感の強さに関連する。拮抗性は,このような人物が自分の壮大さや優位性を脅かされたときに活性化します。この側面は「ライバル性」とも呼ばれます。すると,他者に反撃したり,積極的に他者を切り捨てたり,敵意をむき出しにして支配を目指したり,他者を軽蔑するような表現をするようになります。

リーダー

自己愛傾向のレベルも関係しそうです。高いレベルの自己愛傾向は,問題のある人間関係を生みだす可能性があります。一方で,誇大な自己愛傾向は,したがう人々からの注目や賞賛を集めることにも一役買うと考えられます。誇大な自己愛は,リーダーシップにとって良い面と悪い面の両面がありそうです。

では実際に,自己愛的なリーダーは部下たちからどのように見られているのでしょうか。こちらの論文を見てみましょう(Is a little narcissism a good thing in leadership roles? Test of an inverted U-shaped relationship between leader grandiose narcissism and follower satisfaction with leader)。

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