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自己愛的なコーチのもとで競技成績は上がるのか下がるのか
スポーツのコーチが,もしもとても自己愛が高く,ナルシスティックな人物だったら,何が起きるでしょうか。今回はそんな論文の紹介です。
コーチ
日本語と英語のニュアンスが大きく異なるケースがあります。「コーチ」(coach)という単語もそのひとつではないでしょうか。
日本語で「コーチ」というと,監督の下で選手たちを直接指導するような役割をイメージします。プロ野球チームでも,監督の下に「バッティングコーチ」「ピッチングコーチ」など複数のコーチがいるイメージを,昔からもっています。
一方で,特にアメリカ英語でcoachといえば「監督」のことを指します。
この違いは,英語の論文を読むときにも要注意です。広く「指導者」を指すとイメージすればいいかもしれません。
コーチのナルシシズム
ナルシスティックなコーチに関する研究も,これまでに行われてきています。どんな特徴があるのかというと……
◎権威主義的で抑圧的,支配的な対人関係スタイルを取る
◎アスリートの心理的幸福を低下させる
◎アスリートの内発的動機づけを低下させる
◎アスリートが欲求不満に陥りやすくなる
◎ドーピングに対する肯定的態度など,反社会的なスポーツ行為を助長させる
全体的に,よくない結果になることがこれまでの研究でも指摘されてきています。
良い面は?
ナルシスティックなコーチに悪い面ばかりがあるのなら,そもそもコーチに就任できないはずです。なにか良い面があるから,コーチを依頼されるのではないでしょうか。
たとえば自己愛的なコーチはカリスマ性があり,選手を鼓舞することに長けているという指摘があります。また,競技のようなプレッシャーのかかる場面で,ナルシスティックなコーチに指導された選手はよいパフォーマンスを示す傾向もあるようです。
また,ナルシスティックなコーチは集団と自分自身との愛ダンティティを融合させる傾向もあると指摘されます。すると,自分が指導しているチームの勝利やよいパフォーマンスに対する動機づけが大きくなるとも考えられます。
スポーツにおける自己愛的コーチの役割
今回紹介する論文は,室内でボートをこぐ競技を行うインドアローイングという種目を対象に行ったものです。
オランダで行われた研究です。こちらの論文を見てみましょう(Narcissistic coaches and athletes’ individual rowing performance)。
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