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世界中の縦断データを集めてみると年齢に伴う性格の変化は
「性格は完成するのか」問題は,いまでもパーソナリティ心理学のなかではホットな話題のひとつです。
パーソナリティのような心理変数の得点が安定するのか変化するのかという問題は,そんなに簡単なものではなく,どこに注目してどう変わるのかを理解する必要があります。以前もこのことについては,記事に書いたことがあります。
安定性を考えるときには,おおきく次の5つの観点があります。
◎平均値の安定性:時間を経ても平均値が変わらない
◎順位の安定性:時間を経ても人々の間の順位が変わらない
◎構造の安定性:時間を経ても変数間の関連が変わらない
◎個人の安定性:時間を経てもある個人の得点が変わらない
◎イプサティブな安定性:時間を経ても個人の得点の相対的な高低が変わらない
たいてい,特に前振りもなく「パーソナリティの発達」と出てくるときには,「平均値の安定性」のことを指しています。
横断的調査と縦断的調査
研究のなかで,横断的な調査と縦断的な調査という言い方がされることがあります。
◎横断的調査:複数の年代に対して一度に調査を行い,年齢ごとの違いを検討
◎縦断的調査:人々に対して追跡調査を行い,集団と個人がどのように変化していくのかを検討
横断的な調査では,各個人の変化がわかりません。あくまでも,ある時点におけるある年齢と別の年齢との「差」「違い」を問題としていて,ある年齢の人が次の年齢へと移行したときに,本当にそうなるかどうかはわかりません。
一方で縦断的な調査では,個人が次の年,また次の年にどのように変化していくかがわかります。ただし,調査にはコストがかかります。時間的にもそうですし,金銭や労力もかかります。また,全員が次の年の調査にも回答してくれるとは限りません。
なかなか思うように現象を捉えることは難しいものです。
変化の軌跡と個人差
複数回の縦断的な調査を行うと,いくつかのことが検討できるようになります。
◎成人期を通じて,ビッグ・ファイブ・パーソナリティはそれぞれどのように平均値が推移していくのか
◎全体の平均値のまわりに,どれくらいの個人差があるのか
◎どのような要因がその個人差に関連するのか
◎得られた結果は,どれくらい一般的に言うことができるのか
今回は,成人期を中心とした16の大規模な縦断的調査によって集められたデータを分析した研究を紹介してみたいと思います。こちらの論文を見てみましょう(Trajectories of Big Five Personality Traits: A Coordinated Analysis of 16 Longitudinal Samples)。
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