
高齢者たちはパンデミックにどう対処してきたのか
2020年の初頭に,新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は世界的な危機を引き起こしました。この危機によって,私たちは医療制度の危機,日常生活の中での大きな制限,衛生に対する考え方の転換,経済的・社会的な大混乱を経験しました。すっかりもとの世界に戻った感もありますが,やはりまだ影響を大きく残していますよね。
数十年後には必ず教科書に書かれるような大事件を私たちは経験したのですが,そのような大変な時期を経験をする中でも,日常が過ぎていくことが体験されました。
高齢者
パンデミックの中で大きな危機を経験したのは,特に高齢者たちではなかったでしょうか。高齢者は持病も多くなるため,COVID-19の発症リスクも高く,重症になるリスクも高くなっていきます。実際,いくつかの国では,死亡率は年齢と多疾患の合併によって大きく増加したそうです。
一方で,パンデミック中でも,高齢者の幸福感はパンデミック期間中でも驚くほど安定していたとも報告されています。心理社会的なストレスは,パンデミックの初期に特に上昇し,そのストレスの状況は健康状態,資源の状況,社会的な参加や活動,生活環境によって変わってくることも示されました。
パンデミックを通じて,高齢者はどのような対処をとってきたのでしょうか。
研究
COVID-19の期間である,2020年5月から2022年11月のあいだの2年半にわたって継続的に収集したデータを分析することで,パンデミック期間中の対処を検討する研究が行われています。自由記述を質的に分析し,さらに量的な分析によって,COVID-19への対処と年齢や教育レベル,COVID-19への恐れ,知覚されたストレス,レジリエンス,抑うつ,孤独感,健康関連QOL(生活の質),身体活動量などとの関連を検討することを目的としています。
こちらの論文を見てみましょう(Older adults’ coping strategies during the COVID-19 pandemic – a longitudinal mixed-methods study)。
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