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スキルは性格よりも学業成績に関連するか

割引あり

これまでの研究から,パーソナリティ特性は仕事のパフォーマンス,長寿,主観的幸福感など,人生における重要なさまざまな結果と関連することが報告されています。

勉強の領域では,ビッグ・ファイブ・パーソナリティの開放性は高校生が受験する大学の共通テストの結果を予測することが報告されていますし,勤勉性と開放性は小学校から大学までの学業成績に関連することも報告されています。


スキル

パーソナリティとスキルという概念を比較すると,どのような点が異なるのでしょうか。ひとつの観点は,可変性でしょう。パーソナリティよりもスキルの方が,訓練や教育による変化が期待されます。もちろん,パーソナリティも全く変容し合いわけではないのですが,たとえれば力を入れたときに曲がり具合が違うといったところでしょうか。

ただし,スキルはパーソナリティの中にも部分的かつ概念的に内包されます。概念は区別されるのではなく,重なり合うのです。

もう一つの重要な区別の観点は,パーソナリティがその人の方向性や状態を表すのに対し,スキルは「できること」を表すという点です。ある種の能力のようなとらえ方ですが,能力というと「できること」プラス「変化しにくい」という両方のニュアンスを持つのではないでしょうか。スキルは「できること」プラス「変化しやすい」というイメージです。


SEB

社会的・情動的・行動的スキル(Social Emotional Behavioral Skills)に明確なこれという定義はないのですが,スキルを包括的にまとめようと試みるものです。

◎生物学的要素と環境要因の相互作用で構成される
◎思考・感情・行動の一貫したパターンとしてあらわれる
◎公的・私的な学習経験を通じて発達しつづける
◎個人の生涯を通じて重要な社会経済的結果に影響を及ぼす個人の特性

以上の観点が,SEBスキルだとされます。また別の定義によると,個人が対人関係や社会的状況を効果的に操作することを可能にする,可鍛性のある広いスキル,であるとされます。

BESSI

SEBスキルについて,5つの広い領域からとらえることを心いているのが,BESSIと名づけられた心理尺度です。以下の5つの領域から構成されます。

◎自己管理スキル
◎社会参加スキル
◎協働スキル
◎情動的回復スキル
◎イノベーションスキル

さらにこれらの下に,合計32のスキルのファセットが設定されています。結果的にこれら5つのまとまりは,ビッグ・ファイブ・パーソナリティと対応するものになっています。

学力テスト

アメリカ合衆国では,大学入試の際に共通テストを受験します。代表的なものにSATやACTがあります。今回の論文は,ACTを受験した高校生を対象にして,BESSIがテストの結果を予測するかどうかを検討するものです。

では,こちらの論文を見てみましょう(Examining SEB skills’ incremental validity over personality traits in predicting academic achievement)。

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