年をとると自分は平均以上だと考えなくなるのか
自分はまあ,平均的な人々に比べて,まあまあうまくやっているのではないかと信じて生きていくことは,それなりの意味があるように思います。
もちろん,全員が「自分は平均以上」であれば,平均はそのイメージされる平均よりも上のところに設定されます。それでも半分よりも多くの人が「自分は平均的な人よりもよい」と思えば,さらに平均はそれ以上のところに設定されていき……という際限のない繰り返しが生じてしまいます。
つまり,「自分は平均以上だ」と考えることは,一種のバイアスのようなものだと捉えることもできるのです。
以前にも,この平均以上効果について書きました。この効果は,レイク・ウォビゴン効果とも呼ばれています。
自己評価の発達
成人期以降,年齢を重ねるごとに自尊感情の得点が上昇していくことが知られています。欧米だと,だいたい60代くらいまで,日本だと70代を越えても自尊感情は上昇傾向にあると言われますし,私自身が手にしているデータでもそんな傾向が見られます。
ちなみに日本では,中高生や大学生に比べて成人期の法が自尊感情が高めになるというのは,メタ分析でも示されています。
大人になっても平均値以上と考えるのか
自分は平均よりもすぐれていると考えることは,自尊感情にもかかわる問題です。やはり,人よりもイケていると考えれば,自己評価も高くなりそうだという想像ができるのではないでしょうか。
そして,自尊感情は成人期以降,上昇していくのです。ということは……年齢を重ねるほど「自分は平均以上だ」と考えるようになってもよいように思います。
そのう一方で,やはり大人になるというのは現実を受け入れるものだという考え方もあります。いったい,どちらが正しいのでしょうか。
年齢段階別の平均以上効果
では,この論文を見てみましょう(Age and the Better‐Than‐Average Effect)。
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