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プラセボ効果を示しやすい性格はあるのか

「プラセボ効果」というと,なんとなく「よくないもの」と考えがちなのですが,あえて「プラセボ効果」を前面に押し出した商品があるのを,ご存じでしょうか。

この偽薬の使い道は,いろいろと考えられます。どうしても「薬を飲みたい」と訴えるけれども医者にとめられている人とか,あまり子どもに薬を飲ませたくないけれどもと考える親御さんとか,時には本当に偽薬効果(プラセボ効果)が生じて,頭痛や腹痛が収まる,ということも起こります。

病は気から

ストレスで頭痛を訴えたときなど,いったん効く薬を飲ませて収めて,次からは偽薬を飲ませるという使い方もできます。一種の学習のような効果が生じると考えられるのですが,この本にもそのあたりの説明が書かれていました。

 条件反射を利用して薬をプラセボと置き換えることを,プラセボ制御による薬剤減量(PCDR)と呼び,副作用が軽くなるだけでなく,医療費を何十億ドルも削減することができる(2007年,ADHD薬にかかった費用は米国だけで推定53億ドル)。(p.104)

プラセボと性格

プラセボ効果というのは,特に何かを活性化するわけではない介入に対して,何らかの望ましい反応のことを指します。その逆の効果もあって,ノセボ効果と呼ばれています。これは,不活性な介入に対して,望ましくない反応が生じることです。

海外では,プラセボ効果やノセボ効果とパーソナリティ特性や気質との関連が,これまでに検討されています。しかも,結構な数の研究が行われているようなのです。果たして,どんな研究が行われてきているのでしょうか。過去の研究をまとめるレビュー論文がありますので,内容を確認してみましょう(The influence of personality traits on the placebo/nocebo response: A systematic review)。

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