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肯定的感情と否定的感情は不安にどう関連するのか
心理学で感情を表現する言葉は,いくつかのものがあります。たとえば情動(emotion)は,自動的で短時間の心理的・生理的反応を指します。また感情(feeling)は,情動についての主観的で意識的な経験に注目した言葉です。
情動状態
情動そのものは,短期的な反応を指すのですが,日常的にある情動を抱きやすいかどうかという「傾向」に注目することもあります。普段から不安や落ち込みを感じやすいとか,喜びや幸福を抱きやすいとか。こうなると,パーソナリティのような概念に近づいていきます。
主観的な情動の評価を行ったとき,おおきく2つのまとまりになることも知られています。
◎ポジティブな情動性(PA):ポジティブな情動状態(活気,喜び,興奮,大胆さ)によって特徴づけられる
◎ネガティブな情動性(NA):ネガティブな情動状態(恐怖や悲しみ)や苦痛を特徴とする特性
ポジティブな情動性が高い人は,喜び,熱意,活力,親しみやすさ,大胆さ,自己主張,誇り,自信を頻繁に感じることが多いのに対し,ネガティブな情動性が高い人は,鈍さ,平坦さ,無関心,無気力を頻繁に感じることが多いとされます。
別次元
ポジティブな情動性とネガティブな情動性は,ひとつの数直線の対極にあるような関係性であるようにとらえられるかもしれませんが,実は互いにあまり関連をせず,別個の次元であることが報告されてきています。
おそらく,それぞれの情動が生起するメカニズムが異なるのでしょう。
不安
ポジティブな情動性とネガティブな情動性は,ともに不安や抑うつに関連することも報告されています。不安(anxiety)と抑うつ(depression)は,ネガティブな心の状態として代表的で重要なものです。
不安は,主に未来の出来事や状況に対する過剰な心配や恐れを特徴とする感情状態のことを指します。抑うつは,主に持続的な悲しみや興味・喜びの喪失を特徴とし,過去や現在の出来事に対するネガティブな感情が中心となる状態のことです。
そして予想どおり,これまでの研究では,ポジティブな情動性は不安と負の関連,ネガティブな情動性は不安とプラスの関連を示すことが報告されています。
メタ分析
しかし,実際にどれくらいの関連なのかは,研究によって異なります。そこで,メタ分析で研究結果を統合したらどうなるでしょうか。こちらの論文を見てみましょう(How strongly are trait positive and negative affectivity associated with anxiety symptoms? A multilevel meta-analysis of cross-sectional studies in anxiety disorders)。
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