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日々是好日・心理学ノート

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2021年1月の記事一覧

2021年1月のまとめ

2021年も1ヶ月が経過しようとしています。いや,本当に早いものです。1年前を思い出してみましょうか……2020年1月31日は,新型コロナウィルスによる肺炎の13例目が出たという報告がされた日でした。 また同じ日に,無症状なのにPCR検査が陽性になったというケースも報道されています。 いまでは数が多くて「当たり前」になってしまったことが,1年前は全く当たり前ではなかったということに,改めて気づきます。いや本当に,たった1年前のことなのに,すっかり忘れてしまっていますよね。

知能の高さは顔からわかるのか?

「頭がよさそうな人の顔」って,なんとなくわかるものでしょうか? 「頭がよさそうな芸能人」で検索すると,多くの記事がヒットしてきます。最近はクイズ番組が多いですし,その場で気の利いたコメントを返す様子を見て「頭の回転がよさそう」と感じることも多いようです。また,司会者として番組を先導する役割の人も,「頭がよさそう」というイメージを与えることがわかります。 対応バイアス「クイズ番組で活躍する」という,状況に基づいて「だから頭がよいに違いない」と過剰に判断することは,基本的な帰

カウンセラーに向いている性格はあるのか

北川景子さんが公認心理師役をする映画がニュースになっていました。 「カウンセラーらしさ」を演技するために,リサーチを重ねた様子が書かれています。ということは,「カウンセラーらしさ」というのはなにかまとまりがあって,それらしさを演技することができるものだ,ということになりますよね。 仕事に向く性格どういう性格の人がどういう仕事に向いているのかという疑問は,昔から尽きないものです。そして,「なんとなくこういうことが言えるんじゃないか」ということを,多くの人が何となくイメージで

HSPが関連するのは自閉スペクトラムかアレキシサイミアか抑うつか不安か

HSP(Highly Sensitive Person)を授業で扱うと,多くの学生がネット上の記事やYouTube経由ですでに聞いたことがあると感想に書いてきます。HSPは,それだけ世の中に広く知られている概念なのですが,その一方で地道な研究も世界中で行われています。 これまでにも,HSPに関連する性格特性が何かという研究を紹介したことがあります。 また,HSPがどれくらい遺伝するのかという研究を紹介した記事も書きました。ぜひこちらの記事もどうぞ。 精神的問題につながる

性に奔放な男性はお酒をよく飲む

近年,ソシオセクシャリティ(sociosexuality)とかソシオセクシャル志向性(sociosexual orientation)と呼ばれる傾向がよく研究されるようになっています。これは,情緒的な結びつきのない相手と性的な関係を結ぶ傾向のことで,ソシオセクシャリティの高い人は多くの人と性交渉を持ったり,性感染症に罹患する確率が高くなるといわれています。 このソシオセクシャルな傾向を測定する尺度には日本語版もあります。興味のある方はこちらの論文もどうぞ。 飲酒とソシオセ

自己コントロールは何パーセントが遺伝か

やりたいことがあったり気になることがあるときでも,しなければいけないことに集中して取り組むことはできるでしょうか。私自身,最近は注意が散漫になりがちで,なかなか長い時間を何かに集中することが難しくなりつつあるのではないかと思っているのですけれども……。 いろいろな定義があるのですが,「必要のない衝動や行動を内的・外的基準と一致させるために変化させる能力」のことをセルフ・コントロールや自己統制といいます。 このセルフ・コントロールは,勉強や仕事に集中したり,実際に成果を挙げ

ボーダーラインとビッグファイブ

ボーダーラインと呼ばれるパーソナリティ障害があります。境界性パーソナリティ障害(Borderline Personality Disorder)というのが正式な名称です。 DSM-5にもこの障害については記載されていて,次のような特徴のうち5つ以上あてはまることが診断の基準となります。広く,人間関係や自己意識,感情の不安定さや衝動性を特徴とする内容になっています。 パーソナリティPersonality Disorderと書かれているように,パーソナリティに関連する問題だと

性格と偏見,偏った世の中を見る視点

パーソナリティ特性が偏見や先入観に影響するという考え方は,心理学の中で古くから研究されてきました。たとえば権威主義的な性格は,差別的な思想に結びつきやすいとされるパーソナリティ特性のひとつです。 社会的支配志向性もうひとつの重要な個人差特性が,社会的支配志向性(Social Dominance Orientation; SDO)と呼ばれるものです。これは,集団において階層構造を望む程度をあらわすものです。「誰であれ人々は平等であるべきだ」といった考え方はSDOの低い考え方で

1935年の性格類型の話

今回もまた,昔の論文を読んでみましょう。1935年に発表された性格の類型を行っている研究です。当時の心理学では,今のような統計的手法が用いられていません。でもその中で,試行錯誤をしながらなんとか数値を用いて性格の研究をしようとする努力が見られます。 向性検査当時,すでに向性検査と呼ばれる外向性ー内向性を測定する検査が開発されつつありました。 向性検査については,以前にも記事を書いたことがあります。こちらをどうぞ。 性格類型さて,この外向性ー内向性を軸にしながら性格の類型

年をとるとどんな性格になると人々が考えているのかを国際比較で検討すると

「若者というのは……」「年寄りというのは……」という,特定の年齢集団に対するステレオタイプ的な考え方を,エイジズムといいます。 では,どんなイメージになると予想しますか?ビッグ・ファイブ・パーソナリティのそれぞれの次元について,若者たちと高齢者たちはどちらのほうが高いイメージがあるでしょうか……? ◎神経症傾向(感情的な不安定さ) ◎外向性(活発さ,明るさ,人と話すのが好き) ◎開放性(空想しがち,芸術や学問に興味,伝統にとらわれない) ◎協調性(やさしい,他者が優先,人

1912年の性格学の話

今回も,昔の論文を読んでみようシリーズです。 論文は,1912年に刊行された心理研究の第2巻に掲載されている「講話」つまり講演記録のようなものでしょうか。「性格學の話」というタイトルの記事です。 1912年というのは明治45年から大正元年になる年のことです。世の中がどんな雰囲気だったか,想像できるでしょうか?タイタニック号が沈没した年です。また第一次世界大戦の2年前ですね。 記事の最初は,いかにも講演という次の一節から始まります。 諸君,私は「性格学」と題して,一席の

ダークな人たちの安全対策

事故を起こしやすい性格の人って,いると思いますか? アメリカにホーガン・アセスメント・システムズ社というパーソナリティ検査の会社があります。心理学者ロバート・ホーガンが設立した会社で,アメリカでパーソナリティ系の学会に行くと必ずといっていいほど関係者が来ています。 その中で,職場の安全性を導く行動や能力を測定する検査も作成されていて,6つの側面にまとめられています。 これらが低くなると,職場で危険な結果を招きやすいそうですよ。気をつけましょう。 ダークな人々の安全行動

自分は若いと思うことは心の健康につながる

皆さんは,自分が何歳だと感じていますか? 私たちは40歳を過ぎると,たいてい一貫して,実際の年齢よりも20%程度,自分自身を若く感じると報告する傾向があるそうです。50歳であれば「自分は40歳くらい」と考えがちだということですよね。60歳なら48歳くらい,70歳なら56歳くらい,80歳なら64歳くらいだと考えがちだということになります。 うーん,もしかしたらこれが,「自分はまだ若い」と思ってしまって,なかなか自動車の運転をやめられなかったり,後進に道を譲ることができなくな

SNSで本当の自分を出す人は幸福度も高い

SNSを使う時,何を書いたらよいのか,注意して使っていますか?自分をどのように見せるか,何を見せて何を見せないのか,自分のアカウントの書き込みを見る人がどのような印象を抱くと想像するか……そういったことを考えたりしているでしょうか。 そういったコントロールをうまくやっているように思えるかもしれませんが,その一方で,昔とは違ってSNSはどんどんと日々の生活の中に入り込んできていて,自分自身を隠そうとしても本当の自分がどこかに反映しているのではないかとも考えられます。 本当の