<男性育休のススメ>普段から仕事をチームで共有しておけば、誰もが育休を取りやすい会社になる。
厚生労働省が発表した最新のデータ(※1)によると、女性の育児休業取得率は80.2%。それに対し、男性の育児休業取得率は17.13%。「2025年までに50%」と政府が掲げる目標には、まだおよぶ数字でありません。
一方、男性の育児休業取得率のヒューマングループ平均は、2023年3月末実績で、20.59%。ここ数年で取得率は伸長傾向にありますが、まだまだ男性社員の育児休業取得率は決して高くありません。男性も育休を取ることがあたりまえの社風とするために、私たち一人ひとりに何ができるのでしょう。 今回は育休を取得した男性社員にお話を伺いました。
——田村さんご夫婦は、社内結婚ですね。
はい。私は2016年に中途入社し、ヒューマンアカデミー日本語学校の講師を3年間勤めました。その後、現在のビジネス教育事業部に異動し、2020年に同じく日本語教師だった妻と結婚。2022年の1月に子どもが生まれ、2月から8月までの半年間、育休を取得しました。
——ご出産から育休の開始まで、1カ月空けたのはなぜですか?
妻は地元に戻っての里帰り出産でした。1カ月健診が終わるまでは実家で両親と過ごし、健診が終わったタイミングで私たちの家に戻ってきたんです。妊娠中から、産後はそのようにすることを決めていました。
——初めてのお子さんですが、育休についてはどのように考えていましたか?
制度は知っていましたが、社内の育休取得率など、くわしいことは把握していませんでした。妻が妊娠中からつらそうにしていたので、子どもが生まれたら一定期間は休みを取って、一緒に過ごしたいと考えていたんです。妻からは「取ってくれたらうれしいけど、無理のない範囲で」と言われていました。
——半年という期間は、どのようにして決めたのですか?
これまでに誰がどれくらい取っているかは気にせず、とりあえず希望を伝えようと。もしも半年間は難しいと言われたら、そこで相談すればいいと考えていました。出産の2、3カ月前くらいに、育休を半年間取りたいと上司に希望を伝え、なんの問題もなく休むことができました。
——仕事の引き継ぎについて教えてください。
育休は、突然決まる話ではありません。引き継ぎも2〜3カ月くらい前から計画的に行っていました。私は法人営業として、人材育成などを担当する企業のお客さまを数十社抱えています。これまでに時間をかけて関係を構築してきた大切なお客さまです。その関係を継続できるよう、私の代わりとなってくれる担当者と共に、1社ずつお客さま先を引き継ぎの挨拶に回りました。チームメンバーに助けてもらったおかげで、休暇中は問合せもなく、安心して過ごすことができました。
——育休中は、どのように過ごされていましたか?
初めての育児だったため、最初は慣れない日々でした。とくに、生活リズムが変わったことで苦労しました。夜泣きや、決まった時間のミルクなどで睡眠をしっかりとれず、朝起きてもあまり眠った気がしませんでしたね。
妻の産後の回復が順調ではなかったので、妻に負荷をかけないよう、赤ちゃんのおむつ替えや沐浴、炊事、洗濯、買い物はできるだけ担いました。
——いちばん大変だったことは?
大変だったこと……、苦労したこと……。たまたまかもしれませんが、扱いやすい子どもだったので、苦労やつらさはあまり感じなかったですね。
あえて挙げるなら、子どもが泣いているときに、なぜ泣いているのかがわからないときでしょうか。おむつを替えたりミルクをあげたりしても泣き止まないときは、子どもがかわいそうになって、それがつらかったです。
——育休を取ってよかったことは?
あとから関わるのではなく、最初から妻と一緒に育児できたことです。その共通体験があるからこそ、いまも妻と同じ目線で育児ができているのだと思っています。
いま子どもは1歳半になりました。振り返ると、0カ月、3カ月、5カ月と、みるみるうちに成長し、顔もどんどん変わっていきました。その姿を間近で見ていられたことは本当に良かったと思っています。
——半年間の育休を終え、復帰するときはどのような思いでしたか?
いままでこんなに長く会社を離れたことがなかったため、再び電車で通勤して会社に通えるだろうかと不安もありました。そこで育休が終わる1カ月くらい前から、規則正しい生活リズムに戻そうと、早寝早起きを心がけるようにしていました。社会人復帰するためのリハビリのようなものです。でも、なかなか元に戻すのは難しかった(笑)。
——これから育休を取ろうと考えている男性にアドバイスをください。
育休を取る、取らないは個人の自由ですから、取らないという選択もあっていいと思います。ただ、少しでも取りたいと思っているなら、ぜひ取ったほうがいい。周囲の状況など考えてしまうかもしれませんが、ひとりで考え込まず、まずはシンプルに上司に相談してみましょう。
——いまは奥さまも復帰されているのですか?
はい。妻は子どもの保育園が決まった4月から、時短勤務で復帰しています。子どもが熱を出すなどして保育園から急な呼び出しがあると、授業を担当している妻は動きにくい。そこで私が迎えに行くことが多いのですが、そうした場合はチームのメンバーに助けてもらっています。そのため、お客さまの情報や資料の保管場所などが誰にでもわかるよう、日頃から自分の業務をオープンにしておくよう心がけています。
育休に限らず、誰かが抜けると仕事がまわらなくなる、という状況を作ってはいけないと思うんです。普段から仕事の内容をチームで共有しておけば、誰もが休暇を取りやすい会社になっていくのではないでしょうか。
※2023年6月に取材した内容に基づき、記事を作成しています。
肩書き・部署名等は取材時のものとなります。
※1 出典:厚生労働省「令和4年度(2022年度)雇用均等基本調査」
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